トヨタの若手ラリードライバー育成プログラム『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』に参加中の勝田貴元が5月31~6月2日に行われた2019年WRC第世界ラリー選手権第7戦ポルトガルのWRC2に参戦。序盤は優勝争いを繰り広げたが、ホイール破損のアクシデントなどもあり、クラス13位でのフィニッシュとなった。
勝田が挑んだラリー・ポルトガルは、ヨーロッパ圏内で行われる2019年最初のグラベル(未舗装路)イベント。各ステージの速度域が高く、テクニカルなセクションが多い点が特徴だ。
また、路面は目の細かい“ルーズグラベル”に覆われており、グリップレベルが低い上、マシンが走行を重ねると、その下に隠れていた石などが姿を見せ始め、マシンやタイヤにダメージを負う可能性も高まる難しいイベントでもある。
前戦のラリー・チリで自身2度目のWRC2優勝を果たした勝田は、5月25日に行われたフィンランド国内戦のグラベルイベント“リーヒマキ・ラリー”にトヨタ・ヤリスWRCで参戦し、総合優勝を達成。直近のグラベル戦で連勝と波に乗って、ポルトガル戦に乗り込んだ。
そんな勝田は競技初日に行われたSS3でクラストップタイムを刻むと、首位と0.2秒差のクラス2番手に浮上する。その後は徐々にトップに引き離されたものの、SS5を終えた時点で6.9秒差の2番手につける。しかし次のSS6でタイヤから空気が抜けてしまうアクシデントがあり、トップと42.9秒差の総合5番手まで後退してしまう。
優勝争いからは一歩後退してしまった勝田だが、一夜明けた競技2日目もペースは緩めず。上位陣の脱落もあり、SS10を終えた時点でふたたびクラス2番手まで持ち直す。
しかし、SS12走行中、今度は右リヤのホイールリムが割れるアクシデントに見舞われてデイリタイア。クラス14番手で競技最終日に臨んだ。
勝田は大きくポジションを落としたものの、競技最終日に行われたSS16~20のうち、SS16を除く4ステージでトップタイムを記録してパフォーマンスを発揮し、クラス13位、総合21位でフィニッシュした。
戦いを終えた勝田は「今週末の自分のスピードには満足しています。昨年このラリーに出場した時と比べると、かなり成長できたのではないかと思います」と述べている。
「必要以上に激しく攻めることはせず、とにかくミスをしないようにクリーンな走りを心がけました。大きな石を絶対に踏まないように、細心の注意を払って走り続けたので、ホイールが破損した時は本当にショックでしたし、なぜそうなってしまったのか正直分かりません」
「とはいえ、ポジティブに思えることも多くありました。最終日はいいリズムを保って走れ、好タイムを並べることができたので、それに関しては満足しています」
「引き続き、自分の運転を進化させようと努力していますので、将来的にはさらに速く走れるようになると確信しています」
インストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンも「今や、タカのドライビングとWRCイベントに臨む姿勢は、かなり高いレベルにある」と勝田の走りを評価している。
不運な結果に終わったラリー・ポルトガルを終え、勝田が次に挑むのは6月13~16日に行われるWRC第8戦イタリア・サルディニア。地中海に浮かぶサルディニア島を舞台にした中高速グラベルイベントだ。