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MotoGPイタリアGPの初優勝に流した歓喜の涙。ペトルッチ「優勝するチャンスだと言い聞かせた」

2019年06月03日 20:11  AUTOSPORT web

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パルクフェルメで健闘を称え合うペトルッチとドヴィツィオーゾ
2019年シーズンのMotoGPに新たなウイナーが誕生した。ダニロ・ペトルッチ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)がMotoGP第6戦イタリアGPで自身初優勝を果たしたのだ。最終ラップまでもつれた接戦を制したペトルッチ。抑えきれない喜びに涙を流すシーンも見せた。

 イタリアGPは序盤から接戦が展開された。ポールポジションから1番手をキープしたのはマルケスだったが、後続を引き離すことはできない。

 マルケス、そしてアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)、ペトルッチ、カル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)、ジャック・ミラー(プラマック・レーシング)、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)などが連なって周回を重ねていく。

 ムジェロ・サーキットは長いメインストレートを持つレイアウト。予選ではスリップストリームを利用しようという心理戦が展開されていた。

 そしてレースでは、インフィールドでポジションを奪い1番手で最終コーナーを立ち上がってはメインストレートで追い付かれ、数台が横並びとなって1コーナーに飛び込んでいくシーンが何度もあった。5台から6台ほどで形成されたトップ集団は、常にポジション争いを展開していた。

 トップ争いがようやくしぼられたのは、レース終盤、16周目に入ったころ。優勝を争うのはペトルッチ、マルケス、ドヴィツィオーゾだ。

「トップ集団のペースがそれほど激しいものではなく、自分のリズムがトップ集団のなかでマネージメントできると気が付いた。そのとき、自分に言い聞かせたんだ。優勝する絶好のチャンスだ、ってね」と、ペトルッチはレースを振り返っている。

「ポジションを失わないようリスクを避けながらトップ集団にいるよう努めた。それから、最終ラップの戦いに向けて、エネルギーとタイヤを温存するためにペースをコントロールしたよ」

 最終ラップに向かうメインストレートを立ち上がったとき、トップはペトルッチ。しかし、ペトルッチはレース後の会見のなかで、スリップストリームを利用したマルケスとドヴィツィオーゾに追い付かれるだろうと思っていた、と語ってる。

 ペトルッチが懸念したとおり、マルケスとドヴィツィオーゾはストレートの加速でペトルッチを交わし、1コーナーにそれぞれペトルッチよりも前で飛び込んだ。

 しかし、ふたりのラインがわずかにワイドになる。ペトルッチはそのギリギリのインを突いた。ふたりよりも素早く1コーナーを立ち上がったペトルッチは、そのままトップで最終コーナーを立ち上がる。ストレートでマルケスが迫るが及ばず、トップでチェッカーを受けた。

 ペトルッチは勝負を決めた1コーナーでのブレーキングについてこう説明する。「ブレーキをかなり深くして、アンドレアとマルクの間に小さなすきまを見つけたんだ」

「それからはチェッカーフラッグまで、自分ができるかぎりただ攻めたよ」

 ペトルッチは前戦フランスGPで、ドヴィツィオーゾと2位を争った際、「チームメイト同士で危険を冒したくなかった」とコメントしていた。しかし今回は、優勝への気持ちが勝ったのだろう。

 とはいえ、「この勝利はアンドレアのおかげだ。冬の時期から、とても貴重なアドバイスをくれたんだ」とチームメイトへの感謝は忘れない。

 ペトルッチにとってもミッション・ウィノウ・ドゥカティにとっても、母国グランプリで挙げた勝利に湧いた。