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慰安婦テーマの映画「主戦場」が場外乱闘に…櫻井よしこ氏らの抗議に監督が猛反論

2019年06月03日 19:11  弁護士ドットコム

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旧日本軍の慰安婦問題をあつかったドキュメンタリー映画「主戦場」をめぐり、出演した保守派論客が「商業映画に出演することに承諾していない」などとして、上映中止をもとめる抗議声明を発表した。


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こうした状況を受けて、同作監督をつとめた日系アメリカ人のミキ・デザキ氏と配給会社が6月3日、都内で記者会見を開いた。デザキ氏は「商業映画として公開する可能性は伝えた」「(抗議は)彼らがこの映画を気に入っていないからだ」と反論した。



●櫻井よしこ氏ら「商業映画への出演は承諾していない」

問題になっている映画「主戦場」は4月20日から、ミニシアターを中心に全国上映されている。



デザキ氏が上智大学大学院に在学中だった2016年から、慰安婦問題をテーマにして、ジャーナリストや歴史学者など、さまざまな論客にインタビューして、左右対立する主張を浮き彫りにしていく内容だ。大学院側には「卒業制作」として提出している。



ところが、櫻井よしこ氏(ジャーナリスト)やケント・ギルバート氏(米国弁護士・タレント)など、出演した保守派論客7人が5月30日、(1)商業映画に出演することは承諾していない、(2)大学に提出する学術研究だから協力した、(3)本質はグロテスクなプロパガンダ映画だ--などとして、抗議声明を発表した。



このうち、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝氏ら3人が同日、東京都内で会見を開いて、デザキ氏や配給会社に向けて「主戦場」の上映中止をもとめたほか、デザキ氏らに対する法的措置も含めて対応する姿勢を示していた。



●「映画のできが良ければ、一般公開する可能性があると伝えた」

デザキ氏は会見で、7人のうち5人(櫻井氏、ギルバート氏、トニー・マラーノ氏、加瀬英明氏、山本優美子氏)と結んだものと同じ内容だという承諾書(少し表現が異なるものがある)と、残り2人と結んだものと同じ内容だという合意書(藤岡氏、藤木俊一氏)の文面を報道陣に公表した。



この映画に関連して撮影した映像・音声などについて、デザキ氏が自由に編集して、利用することなどについて、出演者側が承諾するものとなっている。



デザキ氏は「取材の際、大学院生として自己紹介したが、卒業制作であるけれど、映画のできが良ければ(商業映画として)一般公開する可能性があると伝えた」「どういうプロセスを経て結論に至ったか明らかで、プロパガンダ映画ではない」などと、淡々とした口調ながらも強く反論していた。