DTMドイツ・ツーリングカー選手権を運営するITR.e.V代表のゲルハルト・ベルガーは、2019年から採用する2リッター直列4気筒直噴ターボと燃料リストリクターのパワートレインに、ハイブリッド機構の追加を検討していることを欧州のメディアに明かした。
ハイブリッド導入について、これまで2018年時点では「マーケティングのためだけの施策により、レースのスポーツとしての魅力が損なわれるならそれに与しない」と語り、消極的な姿勢を見せてきたベルガー。しかしここへきて急転直下、2021年、もしくは2022年シーズンに向けて共通パーツ指定でのハイブリッド機構導入を評価する意向を示した。
プッシュ・トゥ・パスや燃料噴射圧など細部に異なる仕様は残るものの、2014年から日本のGT500クラスで導入されてきたNRE(ニッポン・レース・エンジン)に準じる最新パワートレインを導入したDTMは、BMWとアウディにとっても市販ロードカーとの関連性をより高めるエンジン規約変更と位置付けられている。
その変更に影響を受けた形であることを認めつつ、ベルガーは「ハイブリッド機構導入検討中のWRC世界ラリー選手権や、WEC世界耐久選手権でのトヨタのように、我々もハイブリッド・システムを持つことになるだろう」と、2021年、もしくは2022年頃のハイブリッド機構の導入について見解を述べている。
「DTMの将来を考えた場合に、我々としてはそれ以上のこと(代替燃料やEVなどの採用)はしたくないと思っている。つまりハイブリッドが限度だ。そのことがショーに影響を与えることはないとも考えている。と同時に、それは市販車の世界と関わりがあることが必要なんだ。今日のスポンサーでさえ、なんらかの環境に優しいメッセージ訴求を望んでいる」とベルガー。
その構想を具現化する上で、旧規定の4リッターV8自然吸気から2リッター直列4気筒直噴ターボへとスイッチし、コンパクトで高効率なパワーパックを手にしたことは重要な進化だったともベルガーは述べているが、『クラス1』規定で統一するスーパーGT500クラスとの兼ね合いはどうなるのか。GT500クラスではハイブリッド搭載の予定は現在のところ発表されておらず、今後の両者の進捗が気になる。