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テヨン、等身大の自分を伝える歌姫のステージ 初の全国ソロツアーを見て

2019年06月03日 18:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 テヨン(少女時代)が、ソロでは初となる全国ツアー『TAEYEON JAPAN TOUR 2019 ~Signal~』のファイナル公演を5月31日に東京・国際フォーラム ホールAにて開催した。テヨンの歌声やパフォーマンスの一つ一つがハイライトの連続だったこの日、公演終了のアナウンスが何度流れても彼女の名前を呼び続ける歓声が、ライブの素晴らしさの全てを物語っていた。


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 少女時代のイメージカラーであるピンクのペンライトに埋め尽くされた会場では、開演前から掛け声が起こっており皆がどれだけこのツアーを待ち望んでいたのかが伝わってきた。テヨンが登場すると観客は大きな歓声で出迎え、生バンドの演奏とともに「Make Me Love You」でライブがスタート。新たな一歩踏み出す思いを歌った「Stay」へと続き、序盤からその歌声で一気に観客の心を掴むと、MCではホッとした表情を見せ「少し緊張しますが、大勢の皆さんに大きな会場でお会いできて嬉しいです。今日は皆さんも精一杯楽しんでくださいね!」と挨拶した。


 そこから、日本初のミニアルバム『VOICE』(6月5日発売)収録の新曲「HORIZON」や、ダンサーとともにダンスも披露した「Baram X3」、パワフルで情熱的な「TURNT AND BURNT」と楽曲ごとに変化していくテヨンのパフォーマンスと表現力の幅を感じさせられながら、ここまで多くの人を魅了する理由を垣間見た気がした。


 「みなさんの表情を見ると思いっきり楽しんでいるのがわかって、私もテンションが上がりました」と語り、広い会場でもできるだけファンと近くでコミュニケーションを取ろうとするテヨンの姿を見ているうちに、思わず観客も笑顔になってしまう。ミニアルバムのリード曲「VOICE」ではMVの衣装で登場し、〈願い叶うなら ひと目でいいから あなたはいま どこにいますか〉と、目の前にはいない“あなた”を探しながらもその声に背中を押されてまた前に進むという繊細な感情を歌い上げる渾身の歌唱力と表現力に、観客は圧倒された。


 バンドのソロパートで魅せた「I’m The Greatest」や、またまた雰囲気を変えた黄色のワンピースに着替えて歌ったグルーヴィーな「Something New」など、曲によってアレンジも異なり目も耳も飽きさせないバラエティ豊かなパフォーマンスを次々に披露していくテヨン。MCでは「テヨンの公演は最初から最後まで一気に駆け抜けるので、少しキツイですね……」と息を整えようとするも、自身の発言がツボに入り笑いが止まらなくなる一幕があり、歌唱している時とのギャップも彼女らしさだと感じた。


 後半は、エレクトリックピアノのイントロが印象的なバラード「Rain」、シンガロングも巻き起こった「11:11」、そして温かい空気が会場を包んだ「SIGNAL」でライブ本編を終えた。「テヨン、コマウォ!(=韓国語で「ありがとう!」)」という特大のアンコールに応え、ステージに戻ったテヨンは「Curtain Call」を歌唱。


 そして「私は、ファンのみなさんをリスペクトしているし、私にとって本当に大切な存在です。この大切な関係を長く続けていきたいですし、この先もたくさんお会いできたら嬉しいです。私が先に言ったので、ちゃんと約束を守りますね。これからもいい歌をお届けできるテヨンでいますので、みなさん宜しくお願いします!」と静謐ながらも力強く語り、ファンからは大きな拍手と歓声が沸き起こった。


 ラストの曲は、テヨンの韓国でのソロデビュー曲でもある「I」。伸びやかな声に溶け込んでいくような一体感に会場が包まれてライブが終わるかと思いきや、曲の終わりかけに会場中がテヨンを称える「#TY #UTAHIME」などが書かれたメッセージカードを掲げ、「I」のサビを大合唱。テヨンは思わぬサプライズに感激の涙をこぼしつつも、「びっくりしました! みなさん、本当にありがとう!」ととびきりの笑顔でファンに感謝を伝え公演を締めくくった。


 テヨンの歌声は、弱さを肯定しながらそれを受け入れて優しく包み込んでくれるような繊細さと力強さを合わせ持っている。それはただ単に歌唱力や表現力の上手さだけでなく、テヨンが等身大の自分を全身全霊で歌とパフォーマンスに込めるからこそ、観客やリスナーの心を惹きつけるのだと改めて感じたステージだった。(神人未稀)