インディ500、そしてデトロイトのレース1で連続3位となった佐藤琢磨は波に乗っていた。予選で不利な状況に置かれても、決勝で順位を挽回する様をアメリカのファンは2戦連続で見せつけられてきた。だからこそ日曜日の第8戦となるレース2も、琢磨に大いに期待していた。
土曜日のレース1は悪天候のため、75分の変則スケジュールとなっていたが、日曜日は快晴となり予定通り70周のレースだ。
午前中に行われた予選だが、琢磨はグループ1で出たものの、ブラックタイヤでもレッドタイヤでもスピードが足りずに8番手に終わった。総合では16番手のグリッドだった。
「土曜日のレースもドライになってからスピードが足りなかったですし、今日はセッティングを変えてみたんですが、それがうまく機能しなかった」と厳しい表情だ。
実は2017年にグラハム・レイホールがデトロイトで2連勝したことから、その時のダンパーを投入していたのだが、うまく働かなかったのだ。
16番手からのレースは、厳しいものになると思われたが、序盤はまだ運は琢磨に味方していた。スタート直後ストレートエンドのターン4では目前で多重クラッシュが発生したが、うまくすり抜けてポジションを上げた。
その後イエローコーションの間にピットに入り、今回ライフの短かったレッドタイヤに見切りをつけてブラックタイヤに変更しコースへと戻る。
最初のイエローでステイアウトしたマシンもあり、順位が混沌とし始めたが2度目のイエローの際にはトップ10 内へポジションアップしていた。
その後ステイアウトしたマシンがピットに入り始めると6番手まで浮上し、レースの中盤を迎えた。
3度目のイエローはランキングトップのジョゼフ・ニューガーデンがジェイムズ・ヒンチクリフ、アレクサンダー・ロッシと絡む波乱。琢磨はこの時3番手まで浮上していた。
レースは半分を残していたが、これで琢磨の3戦連続3位も見えてきていた。だがそう望み通りにならないのも、インディカーだ。
50周目、琢磨がライアン・ハンター-レイ、アレクサンダー・ロッシのアンドレッティ勢2台を従えてターン2を立ち上がると、前にはピットアウトしたばかりのウィル・パワーの姿が。
パワーをプッシュ・トゥ・パスで彼をパスしようと試みるも、プッシュ・トゥ・パスが働かずストレートエンドでかわすことが出来ず、さらにはハンター-レイ、ロッシにもかわされてポジションを落としてしまう。
そのまま6番手となってレースを続けるが、ジェイムズ・ヒンチクリフのストップで4度目のコーションとなった。
琢磨はこの59周目のコーション明けに前のロッシにストレートエンドで挑んだが軽く接触して後退。さらには後続のローゼンクヴィストがターン5でインにダイブしてきて、またもや軽く接触した。この2度の接触で琢磨のタイヤがパンク。琢磨はズルズルとポジションを落としていった。
その周の終わりにすぐにピットに入り、タイヤを変えてコースに戻ったが、後の祭り。ポジションは16番手まで後退した。
ターン1でローゼンクヴィストがクラッシュしたために赤旗となったが、レース再開後は前のマックス・チルトンとエド・ジョーンズをかわして、13番手となったところでチェッカーとなった。
3位が見えていただけに、マシンを降りた琢磨は悔しいそうだ。
「今日は3位になれたレースだったのに悔しいですね。プッシュ・トゥ・パスが働かずにウィルを抜けなかった時は、真っ白になりましたよ。ウィルはコースで止まって序盤にいなくなっていたのに、どこから出てきたんだか(苦笑)」
「予選から決勝へもマシンを大きく変えてみたのですが、やっぱりスピードが足りなかった。昨日は表彰台には上がれたし、ランキングトップとの差も少しだけと縮まったので、全体的にはポジティブな週末だったかもしれません。来週にはテキサスのレースが待っていますから、また頑張りたいと思います」
荒れたレースだったが、完走して少しでもポイントを加点できたのは幸いだった。ポイントランキングで5位に落ちたものの、トップのニューガーデンがリタイアしたことから、ポイント差そのものは縮まった。
連戦が続くインディカー、来週はテキサスのオーバルが待っている。