24時間で801周を走行した1号車GTNET GT3 GT-Rが連覇を達成 ピレリ・スーパー耐久シリーズ2019第3戦「富士SUPER TEC 24時間レース」が、5月31日から6月2日に富士スピードウェイにおいて開催され、ST-XクラスのGTNET GT3 GT-R(浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗/平峰一貴組)がほぼノートラブルで走り2連覇を達成。シリーズも第2戦SUGOに続き連勝を飾った。
スーパー耐久のシリーズ戦として昨年50年ぶりに復活開催された富士24時間レース。今年も入梅の前の時期に開催となったが、初夏の好天に恵まれ、三日間で36,100人のファンが富士を訪れ、キャンプやバーベキューを楽しんだり、家族連れでイベントを楽しむ姿が見受けられた。
富士24時間には、全8クラスに計48台がエントリー。総合優勝を狙うST-XクラスにはニッサンGT-Rが3台とアウディR8が1台の計4台のみのエントリーと少々寂しかったが、本山哲の参戦もあり注目を集めた。
31日に行われた公式予選は、A、Bドライバーのベストタイム合算で争われる。この予選で速さを見せたのは300号車TAIROKU RACING GT-R GT3(山口大陸/ハリソン・ニューウェイ/本山哲/高木真一/ニコラス・コスタ組)だった。
GT-R 2018モデルの山口とニューウェイが従来のコースレコードを更新するタイムを並べポールポジションを獲得。1号車GT-Rの星野もレコードを更新。30kgのハンディウエイトが効いたか、ポール獲得はならず予選2番手でフロントローにつけた。
決勝レースは、1日の14時49分にスタート。300号車GT-Rは本山、1号車GT-Rは星野がスタートドライバーで、このふたりが同じカテゴリーでバトルを演じるのは初のことだ。
本山は初めてのGT3仕様GT-Rドライブとなったが、軽快にGT-Rを操り、星野もこれに引き離されない走りを披露した。最初のルーティーンピットは同じ周回でのピットイン。
300号車GT-Rは乗り込んだ山口がナットが噛んでタイヤ交換をしている時にエンジンをかけてしまい、これで60秒停止のペナルティを受けることに。さらに1コーナーへの進入で他の車両と接触してスピンを喫するなど後退。
これで1号車GT-Rが難なくトップに立った。しかしその後はスピードに勝る300号車GT-Rが1号車GT-Rに追いつき追い越す。さらにピットインのタイミングで順位を入れ替えるというシーンが何度も見られた。
レース全体では大きなアクシデントは、スタートから1時間を迎えようとしていたころに、ST-3クラスのトップを独走中だった62号車DENSO Le Beausset RC350の山下健太が1コーナーを直進してタイヤバリアに激しくクラッシュしたのみ。山下は病院に運ばれるも大きな怪我はなかった。
タイヤのバースト、ホイールの脱落、マシントラブルによるストップ等はあったが、昨年大会のような赤旗中断もセーフティカー導入も一度もなかった。またコース全周で50km/h以下で追い越し禁止となるFCY(フルコースイエロー)も4回実施されたのみで、レースは大きな混乱もなく淡々と進行していった。
総合優勝を1号車と300号車が僅差で争いながら、ナイトセッションを終え、朝を迎えた富士スピードウェイ。レースが大きく動いたのはゴールまで残り4時間となった2日の11時ごろだった。
1号車GT-Rと何度もトップを入れ替え、一騎打ち状態だった300号車GT-Rがピットイン。そしてコースへ戻らず駆動系トラブルのためにガレージへ入れられてしまったのだ。この修復には1時間15分ほどを要し、その間に3番手走行中だった9号車MP Racing GT-R(JOE SHINDO/柴田優作/富田竜一郎/高田匠/影山正美/上村優太組)が、2番手に浮上した。
これで楽になった1号車GT-Rだが、ペースを落とすことなく決められたペースを守り、またピットインでは毎回入念なチェックを行い、目立ったトラブルやミスもなく周回を重ねていく。
最後のピットインでは、今回も活躍を見せた藤波から浜野に交代し、浜野が歓喜のチェッカーを受けた。
「連覇できたことはすごいです。僕もこのチーム発足時からいて、いろいろな経験をしてきましたが、24時間レース連覇できるチームになったことは感慨深いものがあります。このレースに勝つのがまず今年の目標でしたから、本当にうれしいです」と星野は喜びを爆発させた。2位に9号車、3位に300号車とGT-Rが表彰台を独占した。
3台により争われたST-Zクラスは3号車ENDLESS AMG GT4(内田優大/山内英輝/高橋翼/山田真之亮組)がシーズン3連勝を飾った。
9台がエントリーしたST-TCRクラスは、オープニングラップでスピンを喫っするも45号車BRIN・NAUB RS3 LMS(竹田直人/白坂卓也/田ケ原章蔵組)が、3人だけで走りきり参戦3年目にして初優勝を飾った。
ST-1クラスは1台のみの決勝出走で47号車D’station Porsche(星野辰也/織戸学/近藤翼/小林賢二/濱賢二組)が完走優勝。
ST-2クラス(全4台)は、前年大会と前戦で大きなクラッシュをしたこともあり決勝前にお祓いを行って臨んだ59号車DAMD MOTUL ED WRX STI(大澤学/後藤比東至/井口卓人/石坂瑞基組)が開幕戦以来の2勝目を飾った。
ST-3クラス(全7台)は、34号車TECHNO FIRST RC350(手塚祐弥/大草りき/前嶋秀司/大西隆生組)が今季初優勝を遂げた。
参加10台のST-4クラスは、今年開幕から2戦連続マシントラブルに見舞われていた86号車TOM’S SPIRIT 86(坪井翔/中山雄一/松井孝充/佐藤公哉組)がノントラブルで今季初優勝。
ST-4クラス同様参加10台と最激戦区となったST-5クラスでは、一昨年のチャンピオンチーム、88号車村上モータース MAZDAロードスター(村上博幸/雨宮恵司/中島保典/山谷直樹/近藤善嗣組)が今季初優勝を飾った。
富士での過酷な24時間耐久レースを終えたスーパー耐久シリーズ。次戦は、7月20、21日にオートポリスで開催される。