世界三大レースのひとつに数えられるル・マン24時間の本番に先立って開催される“テストデー”が6月2日、ル・マンのサルト・サーキットで行われ、日本メーカー初の連覇を狙うTOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタTS050ハイブリッド(中嶋一貴/セバスチャン・ブエミ/フェルナンド・アロンソ/ブレンドン・ハートレー組)が総合トップタイムをマークした。
24時間レースのグリッドに並ぶ全62台のマシンが集結したこの日は、朝から晴天に恵まれ気温は30度にまで上昇。テストには申し分のないコンディションとなった。
そのなかで行われた4時間のモーニングセッションでは、ブエミがステアリングを握る8号車トヨタが3分21秒875をマーク。僚友7号車トヨタもホセ-マリア・ロペスのドライブで3分22秒027を記録して総合2番手につける。
ノンハイブリッド車勢のトップはレベリオン・レーシングの3号車レベリオンR13・ギブソンで、タイムは3分22秒027。総合首位につけた8号車トヨタとは2.051秒差となった。総合4番手にはビタリー・ペトロフが操り3分24秒389を記録したSMPレーシングの11号車BRエンジニアリングBR1・AERが入っている。
なお、11号車BR1はこのセッション中、前戦スパからSMPに加入したストフェル・バンドーンによって全車中最速となる350.1km/hというトップスピードをマークしてみせ、僚友17号車BR1も349.0km/hで2番手に続いた。これは同3番手に入った1号車レベリオンR13を約10km/h上回るもので、SMPレーシングが“直線番長”ぶりをみせつけた形だ。
トヨタ優勢の状況はアフターヌーンセッションとなっても変わらず。午前と同じく4時間の走行時間が設けられたプラクティスで最速タイムをマークしたのは、またしてもブエミ駆る8号車トヨタだった。
ブエミは自身が午前中に記録したタイムを2秒以上上回る3分19秒440をマークするも、このタイムは昨年のテストデーでフェルナンド・アロンソ記録した3分19秒066にはわずかに届いていない。
8号車に続いたのはやはり7号車トヨタで、マイク・コンウェイが3分20秒586をマーク。3番手にはアンドレ・ロッテラーが乗り込んで3分21秒323というタイムを記録した1号車レベリオンR13が入り、トップとのギャップをやや縮めることに成功している。
■コルベットがGTEプロクラス首位、アマクラスではフェラーリ勢がトップ5独占
最多20台が出走したLMP2クラスはトップ3が3分28秒台後半で並んだ。このなかでクラス首位につけたのはジャッキー・チェン・DCレーシングのホー・ピン・タン、ステファン・リケルミ、ガブリエル・オーブリー組38号車オレカ07・ギブソン、タイムは3分28秒504だった。
クラス2番手は3分28秒769をマークしたドラゴンスピードの31号車オレカ。シグナテック・アルピーヌ・マットムートの36号車アルピーヌA470・ギブソンが、そこから0.228秒遅れのクラス3番手に入っている。
“激戦区”として知られるLM-GTEプロクラスは、その異名のとおり大接戦具合がタイムに表れた。クラストップにつけたのはコルベット・レーシングの63号車シボレー・コルベットC7.R(ヤン・マグヌッセン/アントニオ・ガルシア/マイク・ロッケンフェラー)だが、同車が記録した3分54秒001からわずか0.031秒後方にはフォード・チップ・ガナッシ・チームUKの67号車フォードGTがつけ、そこから1000分の4秒差の3番手には64号車コルベットC7.Rが入った。
AFコルセの71号車フェラーリ488 GTE Evo以下クラス4番手以降も僅差で並び、最終的に17台中12台がトップから1秒以内に収まる結果となっている。
日本人ドライバー4名が参戦するLM-GTEアマクラスではフェラーリ勢が速さをみせ、新車を投入しているウェザーテック・レーシングの62号車フェラーリ488 GTE(クーパー・マクニール/トニ・バイランダー/ロベルト・スミス組)以下、トップ5を跳ね馬が独占。
そのなかで木村武史、ケイ・コッツォリーノが乗り込むCar Guy Racingの57号車フェラーリは、トップから0.473秒差の3分57秒335というタイムでクラス4番手につけた。
また、同じくフェラーリ488を使用してWECにフル参戦中の石川資章率いるMRレーシングは3分58秒048でクラス8番手に。今戦、星野敏を迎えているデンプシー・プロトン・レーシングの88号車ポルシェ911 RSRはクラス14番手で事前のテストを終えている。
テストデーを終えた2019年ル・マン24時間はこの後、4日にロールアウトテストが常設のブガッティ・サーキットが行われる予定だ。