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山田裕貴、“片思い役”で右に出る者なし!? 『なつぞら』雪次郎と夕見子の気になる恋の行方

2019年06月03日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合)が第10週「なつよ、絵に命を与えよ」に入り、なつ(広瀬すず)はついに「東洋動画」へ入社。アニメーターへの第一歩を進み始めた。半年間にわたって放送される朝ドラでは、ヒロインを支える周囲のキャラクターたち、それぞれの物語も見えてくる。すずと同時に北海道から東京へと修行に出てきた、山田裕貴演じる菓子屋「雪月」の跡取り雪次郎もそのひとりであり、職人としての道と同じくらい、柴田家の長女・夕見子(福地桃子)との関係が気になる。


 山田は、俳優デビュー作であるスーパー戦隊シリーズ『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011~12年、テレビ朝日系)から、すぐさま頭角を現し、これまで実に多くの役柄を演じてきた。現代の社会問題にも果敢に切り込む骨太なシリーズとなった主演作『闇金ドッグス』群や『HiGH&LOW』シリーズ、伊藤健太郎の映画初主演作であるヤンキーもの『デメキン』など、男臭い作品での存在感も光るが、一方で、好きになった相手への一途な想いを貫く役もよく似合う。


 人気少女コミックのドラマ化『イタズラなKiss~Love in TOKYO』(フジテレビTWO)では、ヒロイン・琴子に想いを向け続ける三枚目な幼なじみの金ちゃんを好演。同じく人気少女漫画の実写化である映画『ストロボ・エッジ』では有村架純演じるヒロインの仁菜子に、最初は軽い気持ちで近づきながらも本気になってしまう安堂を演じ、その繊細な演技に、安堂は、有村とW主演だった福士蒼汰演じる一ノ瀬と人気を二分した。


 また、台湾映画のリメイクである青春もの『あの頃、君を追いかけた』では、齋藤飛鳥(乃木坂46)が演じたヒロインの真愛を思い続ける青年・浩介の、高校時代からの10年間の時の流れを、説得力を伴って体現し、オリジナルに劣らぬ秀作へと導いた。そして『なつぞら』でも、子ども時代に一目ぼれして以降ずっと、まっすぐに夕見子のことを思い続ける雪次郎を演じている。


 9月に29歳に、そして来年は芸能活動10周年を迎えようとしている山田。これまで主役に脇に、そしてさまざまなジャンルで幅のある芝居を見せてきたが、雪次郎では軽妙さと温かさをまといながら北海道と東京の空気を繋ぐ潤滑油のような存在になっている。さらに一歩引いて抑えた位置から作品を支える器用さと余裕を感じさせ始めており、役者として味の出てくる30歳以降への期待を十分に抱かせる。だがその前に、幾度も片思いの役を演じてきた山田が演じる、雪次郎のまっすぐな恋のその先も見届けたい。(文=望月ふみ)