インディ500の興奮も冷めやらぬNTTインディカー・シリーズだが、早くもデトロイトに移動し第7戦、第8戦のダブルヘッダーを迎えた。
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は、このデトロイトを得意としておりポールポジションは過去2回(2014年、17年)取っており、表彰台も2015年2位に上がっている。
先週のインディ500で大健闘の3位で波に乗っている今、当然このデトロイトでも好成績を期待したいところ。
この週末は変則的に土曜日に第7戦の予選と決勝、日曜日に第8戦の予選と決勝を行うダブルヘッダー戦だ。
金曜日のプラクティスでは午前中にはまずまずの10番手だったものの、午後プラクティスでは15番手と失速、勢いを失っていた。
原因はデータの分析ミスがあったと言うが、土曜日の朝はいきなり予選を迎えることことから、琢磨のマシンはチームメイトのグラハム・レイホールから大幅にデータを移植してセッティングされたという。
その予選は2グループに分かれ、15分ずつというミスの許されないタイトなものだったが、琢磨はレッドタイヤを2セット投入。2度のアタックを行い1分15秒3134をマークするがグループで5番手、総合9番手にとどまった。トップだったアレクサンダー・ロッシからは1秒以上離されることに。
マシンを降りた琢磨の表情は曇っていたが、曇っていたのはデトロイトの空も同じで、レーススタートの約1時間前から大雨警報が出され、スタートがディレイ。雨の量こそ多くないものの雷の警報があったためにレースが進行できなくなった。
およそ2時間のディレイの後、レースは75分のタイムレースとして行われることになり、スタート前のドライバー紹介などを省きレースはすぐさまペースカーの先導でコースインしていった。
シングルファイル(1列)でのスタートとなりレースが始まったが、琢磨はターン1で前のパトリシオ・オワード(カーリン)に横滑りしながら軽く接触したものの、そのままかわし7番手に。その後には、イエローコーション明けの勢いでコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)、そしてライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)もかわして5番手に浮上。
だが琢磨より勢いのあったウイル・パワー(チーム・ペンスキー)が琢磨とサイド・バイ・サイドになりながらターン3でかわしていった。これには琢磨も苦笑い。
「後15センチ空けてくれたら良かったのに」と笑った。
6番手でレースを走っていると次第に路面も乾き、スリックへのタイミングを計っているところで、エド・ジョーンズ(エド・カーペンター・レーシング)のコースアウトでまたイエローに。ピットがオープンになると5台を残してほぼ全車がピットイン。
イエローコーションの直前に絶妙のタイミングでスリックタイヤに変えていたジョゼフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は労せずしてトップに立ったのだ。
琢磨は6番手となっていたが、レース再開となった直後、名手スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がまさかのクラッシュ。ポジションがひとつ上がって、再びイエローコーションとなった。
4周のイエローの後、琢磨は目の前のハンター-レイを再び抜き4番手に。さらにルーキーのフェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ)もストレートエンドのターン3でかわして、ついに3番手に浮上した。
場内PAも「まさにインディ500のデジャヴだ!」と叫ぶほど琢磨の追い上げに注目が集まった。
だが路面が乾くに連れ、琢磨はニューガーデンとアレクサンダー・ロッシに離され、レース終盤には抜いたローゼンクヴィストにもテールを追い回された。
タイムレースの残りわずかとなったラスト2周でベストタイムをマークすると後続の執拗な追い上げを凌いで、3位でチェッカーを受けた。インディ500に続く2戦連続3位入賞である。
「今日はドライで厳しかったので、恵の雨だったし、これを逃すわけにはいかなかった。ターン3ではだいぶん抜きましたね。ライアンはウエットとドライで2回抜いたけど、彼なら無理なことはしないと思って飛び込んでいきました」
「フェリックスを抜いて3位に上がってから、またロッシとニューガーデンがいましたけど、彼らは速かったですね。追いつけなかったです。反対に後ろからまた追いつかれる展開になったけど、プッシュ・トゥ・パスを使いながら抜かれない方法で走っていました」
「今日の3位はチャンピオンシップを考えるととても重要な3位だったと思うし、今日はピットワークも完璧にしてくれたチームにも感謝したいですね。でも明日(日曜)はドライになるだろうから、予選をどう走って、決勝をどうセッティングするか、じっくりエディ・ジョーンズと考えたいですね」
第8戦となるレース2が開催される2日のデトロイトは、ドライの中でのレースとなる模様だ。