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FIVE NEW OLD、海外公演を経て手にした手応えと自信 アジアツアーファイナルを見て

2019年06月01日 10:51  リアルサウンド

リアルサウンド

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 FIVE NEW OLDが5月25日、赤坂BLITZにて『FIVE NEW OLD ASIA TOUR 2019 # JAPAN -TOUR FINAL-』を開催した。今年3月にシングル『WHAT’S GONNA BE?』をリリースし、香港、台湾、中国、タイを回る初のアジアツアーを行った彼らが、5月18日大阪・梅田CLUB QUATTRO、5月23日愛知・名古屋CLUB QUATTROを経てたどり着いた最終公演だ。


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 FIVE NEW OLDの音楽はすべてが英詞で歌われ、The 1975などを好んで聴く人にとっても耳馴染みのよいサウンドだ。R&Bやファンク、80’sの要素を取り入れたアーバンな演奏にHIROSHIの流暢で色気のあるボーカルが乗ると、FIVE NEW OLDならではのグローバルスタンダードなポップスが完成する。途中「身体をほぐすように(サウンドに乗ってほしい)」とHIROSHIが言っていたのが象徴的で、彼らの音楽には身体の揺れを自然と促す心地よさがある。


 FIVE NEW OLDのパフォーマンスはとても自由度が高い。HIROSHIはギターを持って歌うこともあれば、ハンドマイクで華麗なステップを踏みながら歌うこともある。WATARUはリフをギターで鳴らすこともあれば、シンセで弾くこともある。ベースのSHUNとドラムのHAYATOはバンドの屋台骨を支えるリズム隊だが、WATARUも含め、美しいコーラスを響かせる。楽曲によっては機械的なビートや同期が鳴り、刺激的なレーザービームの演出が施されているものもあった。それぞれが楽曲に導かれるようにして、自然に、自由に、演奏し、歌う。以前、FIVE NEW OLDのライブを観たときよりもその印象が強くなったのは、海外で経験したステージの賜物だろう。


 この日のライブは、最新シングル『WHAT’S GONNA BE?』収録の「Better Man」からスタート。ギターリフが印象的でドラマチックな「P.O.M.」やベースの濃厚なサウンドから始まり間奏のギターが際立つ「Gold Plate」など楽器ごとの見せ場もありつつ、やはり情感たっぷりな「Hole」や「Gateway」はじめ表情豊かな歌を聞かせるHIROSHIのボーカルが素晴らしかった。「Stay(Want You Mine)」や「Ghost In My Place」での開放感ある立ち振る舞いにはポップスター然とした華やかさや風格が感じられた。


 オーディエンスの心と身体と声を借りることで仕上がるという「What’s Gonna Be?」はバンドがこれまで掲げてきた“海を越えた人たちにも音楽を届けたい”という思いをさらに強める中リリースした最新シングル表題曲のパーティーチューン。4人の演奏からはバンドが好きで音を鳴らすことが好きで、だから多くの人と音楽でつながりたい……そんな素直な思いが伝わってきた。


 ライブ中にHIROSHIは“あなたらしい、そのままの姿で楽しんでほしい”といった旨の言葉を繰り返しオーディエンスに投げかけていた。彼らが海を越えたその先で見たのは、自分らしさを大切にする人たちの姿だったといい、“自由”を歌で表現した「Liberty」を披露した。そんなアジアツアーが彼らの活動において大きなターニングポイントとなったことは間違いない。“普段とは異なる環境でいかに自分たちの音楽を伝えるか”という試みを通して、“環境が異なっていても届けたいことは一緒、音楽でつながることができる”ということが明確になったようだ。


 アンコール最後の「Don’t Try To Be Perfect」は、演奏が終わる前にメンバーの姿が煙に紛れて消えてしまうという未来のステージへの余韻を残すものに。全20曲の充実したセットリストを披露し、この日のライブを終えた。


 FIVE NEW OLDはこのあと、ニューアルバムを今秋リリース、9月から11月にかけた全国ワンマンツアー『FIVE NEW OLD “Emulsification” Tour』を開催する。リリースの詳細は未定で、ツアーは9月22日兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎を皮切りに、11月29日の東京・EX THEATER ROPPONGIまで計14公演が行われる。さらに、ツアーに先駆け、8月1・2日東京・新代田FEVERにて自主企画イベント『Easy Come, Easy Go vol.14~15』を開催することも決定。1日にSCOOBIE DO、2日にthe band apartをゲストに迎える。


 バンドが目指す理想の姿に近づいているという手応えと自信を手に入れた今こそ、FIVE NEW OLDの音楽をぜひライブで体感してもらいたい。(久蔵千恵)