高齢ドライバーによる痛ましい事故は全国的に後を絶ちません。4月に東京・池袋で母子が亡くなった事故の後、遺族の男性が記者会見で「少しでも不安がある人は運転しないという選択肢を考えて欲しい」と涙ながらに訴えたことも、忘れられない出来事でした。
報道によると、この事故以降、運転免許を自主的に返納する人が増加し、4月19日からの1か月間では都内だけで約4500人と、事故前と比べると約2割増えています。
5月21日のガールズちゃんねるでは、「身内の免許返納に成功した方、どんな風に促しましたか?」と問いかけるトピックが立ち、説得に苦戦する人や成功した経験談などが相次ぎました。(文:篠原みつき)
「今その判断力があるうちに今返納して欲しい、と頼んだら理解してくれた」
高齢者は長年の運転経験から「自分は大丈夫」というプライドが高く、返納を渋る人も多いようですが、レスコメントには説得が功を奏した人がいくつもの経験談を寄せています。
「もし死亡事故起こしたら孫である私はまだ社会に出る前に犯罪者家族になって人生ぶち壊れるっていうのもコンコンと説教したら返してくれた」
「祖母が次の車検で返納しようかなと言っていたので今その判断力があるうちに今返納して欲しいと頼んだらそうだよねと理解してくれた」
そのほか、「駐車場代、車検、保険、税金など車の維持費を示してタクシー利用しても今と出費は変わらない(か、減る)と説明する」と費用面から攻める案を出す人も。ポイントは「何かあってからでは遅いという危機感」と、「家族その他の移動手段を確保」を説得に盛り込むことのようです。
なかには、「強引に鍵を取り上げた」という人も。父親が通院中、駐車場で車にぶつけたのに対処せず、後で高額の修理代請求がきて仰天したからだそう。「当時は怒っていたし、その後はボケるのも早く数年後亡くなったけど今となっては正しかったと思う」としています。まったくその通りです。
「家族が説得するとか、もう無理。 国家レベルで何とかしてほしい」
一方で、「自分だけは大丈夫って過信してるし老人扱いされてると思ってへそ曲げる」と説得の難しさを語る人も多数います。また、自分が足代わりになるのは働き盛りでもあり難しく、「行けないときはタクシー代を請求された」と、大変さを訴える声もありました。
散々説得していても、ゴルフや通院に必要だと聞いてくれないという人もいて、
「家族が説得するとか、もう無理だよね。 国家レベルで何とかしてほしいわ」
「私も懲りずに頑張りますが法改正お願いだから早くしてほしい」
との訴えも度々入りました。年齢で区切ることへの疑問は残りますが、運転していい年齢が決まっているのなら、してはいけない年齢も決めるべきという意見です。
ちなみに、筆者の父は73歳で亡くなる数か月に母に言われて免許を返納し、同時に車も処分しました。病気療養中だったこともありますが、その後は目に見えて元気がなくなり、あれよあれよと病状が悪化。免許返納と関係があるかは分かりませんが、最後の砦を奪われるような気持ちがしたのかもしれません。
それでも、やはり何かあってからでは遅いので、それで良かったのだと思います。未来ある人の命を奪うような事態になれば、高齢者本人だけでなく、その家族も大きく人生が変わってしまいます。「大人の判断」と考えて、賢明な決断をしていただきたいものです。