2019年06月01日 09:11 弁護士ドットコム
許可なくドローン(無人航空機)を飛ばしたとして、航空法違反などの疑いで、自称・解体工の50代男性が5月下旬、警視庁に逮捕された。
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男性は5月9日午後10時ごろ、江戸川区立船堀スポーツ公園内の上空で、許可を受けずに、ドローン(重量470グラム)を遠隔操作で飛ばした疑いが持たれている。
報道によると、警察の取り調べに男性は容疑を認めており、「公園など広いところでは飛ばしていいと思った」と話している。都内で、無許可でドローンを飛ばした疑いで逮捕された初めてのケースという。
警視庁によると、ほかにも、ポーランド国籍の学生や会社員など、3人が航空法違反の疑いで書類送検されている。ドローンの利用は増えているが、注意すべきポイントについて、小林正啓弁護士に聞いた。
「航空法は『人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの』を無人航空機と定義しています。
いわゆるドローン(マルチコプター)やラジコン機、農薬散布用 ヘリコプターなどがこれにあたります。ただし、重量200グラム未満のものは、無人航空機ではなく模型飛行機に分類されます。
無人航空機に該当するドローンは、航空法及び航空法施行規則により、空港の周辺や人口密集地区の上空、地上・水上から150メートル以上の高さの空域を許可なく飛行することが禁じられています。違反すると、50万円以下の罰金が科されることがあります。
このほか、いわゆるドローン規制法により、国会議事堂、外国公館、原子力発電所など、重要施設上空での飛行が禁じられています(200グラム未満のドローンも対象)。また、地方自治体の条例によって、公園などで許可のない飛行が禁止されていることもあるので注意が必要です」
「また、日没後・日の出前の飛行、目視外飛行、操縦者や関係者以外の人や物から30メートル以内を飛ぶ飛行、イベントなどの上空の飛行、危険物を輸送したり、物権を投下したりする飛行についても、あらかじめ承認が必要です。
許可・承認には、飛行の10日前(土日祝日等を除く)までに、地方航空局または各空港事務所に申請書を提出する必要があります。また今般、航空法が改正されて、飲酒しての操縦が禁止されることになります。
最近は、ホビードローンの普及により、許可なく違法にドローンを飛ばすケースが後を絶ちません。報道の男性が逮捕までされた理由は不明ですが、書類送検されて簡易公判手続によって、罰金刑を受けることまでは十分ありえます。ドローンの利用には注意が必要です」
【取材協力弁護士】
小林 正啓(こばやし・まさひろ)弁護士
1992年弁護士登録。ヒューマノイドロボットの安全性の問題と、ネットワークロボットや防犯カメラ・監視カメラとプライバシー権との調整問題に取り組む。
事務所名:花水木法律事務所
事務所URL:http://www.hanamizukilaw.jp/