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亀梨和也が継ぐ、重岡大毅の忠誠心 『ストロベリーナイト・サーガ』悲恋の「インビジブルレイン」

2019年05月31日 10:31  リアルサウンド

リアルサウンド

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 姫川(二階堂ふみ)と牧田(山本耕史)の悲恋が雨の中切なく響いた『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系)第8話。「インビジブルレイン」の後編として、暴力団員の小林が殺害された事件の真相を追う。


【写真】殉職した“姫川班”の最年少・大塚真二


 前編までは姫川一人で追っていた重要参考人の柳井(寺西拓人)の周辺だが、後編からは姫川班全員で捜査に乗り込んだ。菊田(亀梨和也)は、殉職した大塚(重岡大毅)なら姫川班として姫川についていったはずだと言い、他のメンバーも同意する。そして姫川班の捜査で、ついに事件はあと一歩のところへ。柳井が残した音声ファイルによって、小林と仁龍会会長・藤元(鈴木隆仁)を殺したのは、容疑をかけられていた柳井ではなく牧田の可能性が浮上した。姫川の推理では、牧田は柳井までをも自殺に見せかけたが、本当は柳井を脅して死に追い込んだという。全ての殺人罪を柳井に押し付けるつもりだったのだと考えた。恋焦がれていた牧田が犯人だと思い、姫川は目に涙を溜めながら牧田に真相を尋ねる。その時、牧田の部下が姫川を刺そうと飛びかかってくる。一斉に飛び出る姫川班だったが、姫川を守ったのは牧田であった。刺されて息を引き取る牧田に声をあげて取り乱す姫川。菊田はその姿をただ呆然と見守るしかなかった。 


 柳井を演じたジャニーズJr.の寺西拓人と、回想シーンで久しぶりの登場になった重岡大毅、さらに菊田を演じる亀梨和也の活躍で、ジャニーズが一気に集結した第8話。寺西は柳井という複雑な家庭で育った歪んだ少年を初々しく演じる。難しい役であるが、スッと伸びた切れ長の瞳で思いつめた表情を浮かべ、臨場感たっぷりに演じきった。


 さらに第8話では菊田の姫川へのアプローチがより分かりやすくなる。姫川が牧田に惚れている様子を誰よりも先に気づき、危惧していたのは菊田だ。さらにそれをどうすることもできずに、悶々と過ごす。何度も姫川の気を引こうとするが、菊田にはそれはできなかった。しかしそんな切ない恋心ゆえに、今回は「自分たち、姫川班ですから」や「どういう結果になろうと、俺たち主任を支えますから」など、名セリフが多く登場した。菊田は自分が姫川を支えたいと強く思っていただけに、姫川を一番に守れたのは牧田だったことや、姫川自身も牧田を慕っていた様子を目の当たりにし、悔しさを滲ませるような切ない表情を浮かべる。セリフこそ少ない寡黙な菊田であるが、亀梨は、胸を打つような表情を披露し、視聴者の心に直接訴えかける。


 今回は恋愛要素が絡んできただけではなく、警察内部の事情も大きく関わる事件を扱い、刑事としてのそれぞれのポリシーも明るみになった。まっすぐと真実を追い求める姫川や、クビになってでも真相を究明しようと姫川をサポートする上司たちは、警察の熱い魂を持ち職務を全うしている姿が感じられ勇ましい。一方で、正義を貫きつつも自分の中のトラウマゆえに歪んでしまった姫川が、犯人と同じ思考を理解できるゆえに事件を解決に導いていたり、牧田に惹かれてしまったりと、正と歪のあいだをたゆたう様子がくっきりと描かれる。二階堂は姫川のそういう繊細な内面を強く表現しているように感じた。


 来週からはいよいよ前作『ストロベリーナイト』では描かれていなかった部分の物語が始まる。誰も観たことのない姫川班の活躍に注目だ。


(Nana Numoto)