ホンダF1のビジネスアドバイザーを務める海野勝氏が5月29日、長い闘病の末に亡くなった。晩年の海野氏はホンダのアドバイザーとしてマクラーレンとの契約解消、そしてトロロッソへのパワーユニット供給、さらにレッドブルとの提携などに重要な役割を果たしてきた。同時に鈴鹿サーキットの代理人として、F1日本GPの契約更改にも携わっていた。
海野氏は一橋大学を卒業後、まだオートバイ製造メーカーに過ぎなかったホンダに入社。卓越した語学力と交渉力を買われて、当時設立されたばかりのホンダ・フランスの副社長として欧州に赴任。ホンダ・スイスを創設すると初代の支社長に就任した。
その後独立してコンサルタント会社を設立し、1980年代からのホンダ第2期F1活動のサポートや1987年からの日本GP開催に尽力。多彩な趣味の持ち主としても有名で、ハンググライダーの国際大会にスイス代表として出場、欧州内は自らが操縦する小型飛行機で移動した。
フルートの腕前もプロ級で、フランス・ブルゴーニュにはブドウ畑も所有していた。
ホンダF1を代表して、山本雅史ホンダF1マネージングディレクターがコメントを発表している。
「今回の海野勝氏の訃報に接し、深い悲しみでいっぱいです。海野氏はF1のパドックの中では良く知られた存在ですが、ホンダにとっては、長きに渡りF1プログラムを支えていただいたアドバイザーであるとともに、良き友人でもありました」
「また、F1日本GPの開催にあたって鈴鹿サーキットの代理人を務めるなど、日本のモータースポーツ界の振興のためにご尽力されてきました。ホンダを代表して、これまでの同氏の多大なるご貢献に感謝を申し上げるとともに、心からのご冥福をお祈りいたします」
故人のご冥福をお祈りします。