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50代夫が「子どもが欲しい」と離婚宣告 40代妻は「あまりに理不尽」と怒り

2019年05月30日 09:31  弁護士ドットコム

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お見合いで知り合った50代の夫と、数カ月前に結婚した40代女性。年齢的な問題と子どもが嫌いなことを伝えていましたが、結婚後に突然、「家を絶やす事はできない」と離婚を申し出されたと弁護士ドットコムに相談を寄せました。


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●女性「あまりにも理不尽」

結婚前に子どもについて何も話していなかったわけではなく、夫や姑から「子どもがいてもいいと思う」程度のことは聞いていました。ですが、具体的には話されなかったので、女性は聞き流していました。



そんな状況でしたが、突然、「出産が無理なら養子を取りたい、そうでなければ離婚も考えている」という夫の意向を姑から聞きました。女性は「子どもがいなくても楽しく過ごしていこう」と提案しましたが、夫は「自分には家を絶やす事はできない、養子を断るなら離婚してくれ」の一点張りです。



夫は「性格の不一致のため、慰謝料は払わない」と主張していますが、婚約前に「跡継ぎのための子どもが必要」と一切聞いていなかったこともあり、女性は「落ち度はない。あまりにも理不尽」と解決金をもらわない限り離婚届は提出しないつもりでいます。



果たして離婚は認められるのでしょうか。離婚する場合には、女性は慰謝料や解決金をもらうことができるのでしょうか。浮田美穂弁護士に聞きました。



●離婚が認められる場合とは

離婚は認められるのでしょうか。



「離婚が認められるかどうかは、離婚原因があるかどうかで決まります。離婚原因は民法770条1項1号から5号に規定されています。



5号には『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』に離婚が認められると規定されており、今回の相談のように価値観の違いが離婚原因にあたるかどうかは、5号にあたるかどうかの問題となります」



価値観が違う場合は、5号にあたると判断されるのでしょうか。



「人間は一人一人性格が違いますし、価値観も異なります。また、結婚した以上は、夫婦双方が、相互理解のための真摯な努力を積み重ね、要求すべきことは要求し、受け容れるべきことは受け容れて歩み寄る努力が必要となります。



そこで、単に性格や価値観が違うというだけでは、5号の『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』には該当せず、客観的に見て、婚姻関係が全く修復不可能で破綻しているといえる場合にそれに該当します。



具体的には、性格の不一致や価値観の違いにより別居に至り、婚姻期間に比べて別居期間が長期に及んでいるような場合には、これに該当します。今回の相談では、現状ではまだ修復不可能なほど破綻しているとは言えないと思います」



●慰謝料はどうなる?

離婚する場合、相談者は慰謝料や解決金がもらえるのでしょうか。



「現状ではまだ破綻していないことを前提にすると、夫がすぐにでも離婚をしたいのであれば、妻に解決金を支払ってでも離婚をしようと考えるでしょう。



仮に破綻しているとすれば、破綻に至った原因が夫にあるといえれば慰謝料が認められますが、性格の不一致や価値観の違いが本質的な原因の場合には、慰謝料額はそれほど多くはありません」



(弁護士ドットコムニュース)




【取材協力弁護士】
浮田 美穂(うきた・みほ)弁護士
2002年、弁護士登録。2010年度金沢弁護士会副会長。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。
事務所名:弁護士法人兼六法律事務所
事務所URL:http://kenroku.net/