2019年05月29日 19:11 弁護士ドットコム
配送会社や弁当工場など、コンビニに関わるすべての人を対象として、6月に発足予定だった「コンビニ関連ユニオン」に衝撃が走った。5月27日、代表に就任予定のセブン-イレブン・ジャパン社員の河野正史氏が長野県警(警備企画課)に逮捕されたのだ。
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容疑は、大学への建造物侵入。河野氏は事実無根を主張し、5月28日に釈放された。ユニオン側は、河野氏関連の動向にかかわらず、「6月9日の結成大会や、7月11日に予定していた時短ストに変更はない」としている。
河野氏ら同ユニオンの準備を進める関係者は、逮捕前の5月23日、セブンの株主総会に合わせて、本社前で抗議活動し、記者会見を開いていた。
今回の件を受け、河野氏に何らかの処分はあるのかを尋ねたところ、セブンは「コメントは差し控えたい」と回答した。
河野氏の逮捕容疑は、2018年12月20日に許可なく信州大長野キャンパス(長野市)の建物に侵入したこと。
同大広報によると、この日、サークル棟の掲示板に、大学の許可がない外部のものと見られる掲示物がはられていたという。同大では以前から同種の被害に悩まされていたそうで、年末に被害届を出した。
一方、河野氏は当日、信州大には立ち寄っていないとしている。根拠の1つとして主張しているのが、日付だ。
河野氏は「千曲ユニオン」に所属し、自身の降格を不当だとして、長野県労働委員会でセブン本部と争っていた。当時は和解協議の佳境だったといい、和解成立は12月21日付だった。
逮捕に際しては、河野氏の自宅のほか、千曲ユニオン書記長の鎌倉玲司氏宅と同ユニオン事務所の家宅捜索も行われたという。ただし、組合関係の資料については、押収を免れたそうだ。
信州大に掲示されていたのは、警察庁が「極左暴力集団」と位置付ける「中核派」関連のものだったという。そのため、中核派の河野氏が疑われたようだ。
中日新聞はウェブ版で「中核派のセブン社員を逮捕 信州大に侵入疑い」として、河野氏を実名で報じている。5月29日17時現在、サイト上で河野氏の名前を検索しても、釈放についての記事はアップされていない。
コンビニ関連ユニオンは中核派の団体なのかを尋ねたところ、釈放された河野氏は「中核派ではない人が執行部の多数を占めている」。同ユニオンにも関与する鎌倉氏は「個人の思想と組合活動はまったく別物だ」と述べた。
(弁護士ドットコムニュース)