フェラーリF1のセバスチャン・ベッテルは、チームが今も“グリップ専門家”を探していると話している。パフォーマンスに影響を及ぼし続けるダウンフォースの問題を解決するためだという。
日曜日に行なわれたF1第6戦モナコGP決勝を、ベッテルは3番手でフィニッシュした。しかし2番手だったレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが、レース序盤にピットレーンでメルセデスのバルテリ・ボッタスと接触したことで5秒ペナルティを科されたため、最終結果ではベッテルがポジションをひとつ上げて2位となっている。
華やかなモナコ公国でのレースにおいて、フェラーリは今回もライバルであるメルセデスの優位を覆すだけのパフォーマンス向上を果たすことができなかった。
SF90のパフォーマンス低迷が続いていることの主な原因はダウンフォース不足にあると、ベッテルは今も考えている。
「バルテリの方が速いと思ったけれど、僕たちはストレートでのスピードに大きな強みを持っているので、彼には追い抜けないはずだと考えていた」とベッテルは語った。
「全体として僕たちに欠けているのはダウンフォースであり、それが僕たちが把握している弱点だ」
「マシンの出来はそれほど見た目ほど悪くはないと思っている。これまでにも、もっと良い結果を何度か出せたはずだが、満足できる領域にまでマシンのパフォーマンスを引き上げることが非常に難しい」
「その領域に入れば、当然ながら僕たちはもっと競争力を高められる。だけど今はまだ、自分たちの望む位置から離れたところにいるんだ」
「これは本当に大切なことだ。僕たちは、短期間でマシンをその領域にまで引き上げることに集中していく必要がある」
現在フェラーリが必死で探しているのは“グリップ専門家”であると、ベッテルは冗談めかした口調で語った。
「今後の3、4、5レースあたりに期待している。マシンを確実に改善し、グリップを高めることができれば、より速く走れるんだ。単純な話だよ」
「だけど、その専門家はどこかで上手に隠れているようだ。今どこにいるのか、僕には分からない。もし誰かがそういう人を知っているなら、連絡先が分かるなら、ぜひ教えて欲しい。ずっと探しているんだ」
「僕たちには明かせるような秘密などない。いつもと変わらず、細かい部分にも目を向けて必死で努力することだ。それだけが上に行くための唯一の方法だ」
マシンが抱える特定の弱点とは別に、今シーズンのチームのパフォーマンス不足に関しては、自分にも責任の一端があるとベッテルは認めた。
「僕はチームの一員だ。自分だけが高みから物を言うつもりはない」とベッテルは付け加えた。
「今年はマシンと格闘するような難しい局面が何度かあった。マシンのパフォーマンスをもっと引き出せれば気持ちよく走れるけれど、まだそういうレベルにまで達していないんだ」
「ただ、これはマシンを適正な領域に入れ込むという部分で悪戦苦闘していることとも繋がる話だと思う」
「マシンがそこまで行けば走行の感触もよくなるし、その基盤の上に築けるものもあるだろう。でもそういうことは頻繁には起きないし、様々な要素が組み合わさって実現するものだ」
「そもそも今は全体的にパフォーマンスが不足している。全体的なパフォーマンスが向上すれば、タイヤを適正な作動領域に入れることの助けにもなる」
「これまでに6レースも戦ってきたのだから、もはや秘密でも何でもないよ。今年はタイヤを確実に作動領域内で使うことが、これまでよりも少しばかり重要になっているみたいだ」