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梅雨に知っておきたい“キッチンのカビ対策” 専門家がコツを伝授「怖いのは見えない部分」

2019年05月28日 18:22  Techinsight Japan

Techinsight Japan

キッチンをカビから守り衛生的に保つには?
奄美で5月14日頃、沖縄では16日頃に梅雨入りした日本列島。その他の地域でも南から徐々に例年並みで梅雨入りが予想されているが、じめじめしがちな梅雨の時期に厄介なのがカビだ。家の中でも特に水回りに発生しやすいカビを防ぐにはどうすれば良いのか。そのコツを専門家が教えているので紹介したい。

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そもそも一年を通じて湿度が高い日本。総務省統計局の「社会生活統計指標」によると、全都道府県の一年を通じた平均湿度(2017年)は69%で、47都道府県のうち、半数を超える24府県で70%を超え、まさに「多湿列島」なのだ。

家の中で気をつけたいのが、キッチン、お風呂場、洗面所、トイレなど水回りだ。環境生物学の専門家で住宅におけるカビ研究の第一人者であるエフシージー総合研究所 取締役(暮らしの科学部部長)の川上裕司農学博士は「カビが発生する条件は、湿度が高く(80%R.H.以上)、養分が豊富なこと。キッチンまわりは特に注意を払わなければならない」と警鐘を鳴らす。キッチンは食べ物を扱う場所でもあるため、不衛生だと家族の健康にも影響してしまう。キッチンをカビから守り、衛生的に保つことは極めて大切だと言える。


それでは、どのようにカビを防げばいいのか。川上博士によると、「カビの発生原因で大きいのはまず湿度。80%を超えると繁殖のスピードを加速させる」と「湿度」がカギになると言う。住宅の気密性が高くなっている分、換気を意識して風通しをよくするのが基本的なカビ対策となるようだ。

その次に大切なことは、カビを繁殖させない工夫。近年流行りの「腸活」で有益な麹菌などもカビの一種であり、他にも生鮮野菜や果実にも実は必ずカビの胞子が付いているという。そこで川上博士は「ナス・キュウリ・トマトなどは買ってきたら収納する前に洗って汚れを取り除いておくことが大事。また、調理する際に、食材や調味料が飛び散ったりしたときには、気付いた時点で拭き取っておくという日常的な掃除がとても大切」とポイントを明かした。

また川上博士は「目に見える部分はサッと掃除ができるので、少し意識すればカビ対策になるが、怖いのはキッチンの『見えない部分』」と指摘。「流し台の下は昔からカビの発生が多い場所。昔は開き扉式で、調味料のボトルなどを直接置いていたのでカビが発生しやすかったが、扉を開ければ被害を見つけやすい面もありました。今は引出し式が多いので、収納部分だけ気を取られていて、その奥のキャビネットがどうなっているか見えにくくなっています。掃除がしにくい場所では、どのような素材でキッチンが作られているか知っておいた方がいい」とアドバイスした。


ではどのような素材がカビ対策に求められるのか。「キッチンカビに関する実験調査」をクリナップ株式会社が実施したところ、ステンレスと比べて木材はカビ胞子懸濁液が染みこみやすく、菌糸が木材内部へ侵入しやすいことが示唆された。つまり、木材よりもステンレスのほうがカビが発育しにくく、カビが発生しやすいキッチンの素材としてはステンレスのほうが適していることが判明した。また万が一、カビを発見してもステンレスは金属なので拭き取るのも容易だ。


国産メーカーのキッチンキャビネットは木製がほとんどだが、なかにはステンレスで造られているキッチンもある。頻繁に取り替えないキッチンだからこそ、新調したりリフォームする際には、機能性や見た目だけでなく「多湿列島」の日本ではカビ対策も念頭に置くのがオススメ。ただでさえ調理の際に湿気や熱が発生し、食品素材から出る養分も豊富に存在するキッチンは梅雨の時期でなくてもカビが発生しやすい。知恵や知識を駆使して、キッチンを常に衛生的に保ちたいものだ。
(TechinsightJapan編集部 高沢みはる)