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中国のバイイング事情は変化するも買付け金額は増加、無名ブランドでも海外進出が望めるワケとは?

2019年05月28日 12:12  Fashionsnap.com

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オープンクローズ 幸田康利代表取締役
中国全土から毎回約5万人のファッション業界関係者が訪れる上海ファッションウィークを筆頭に、中国国内のファッションに対する熱量は依然として高いと話すのは、日本のブランドを扱うショールーム「シントーキョー(Xin Tokyo)」を運営するオープンクローズの代表取締役の幸田康利氏。同社が5月27日に開催したセミナー「加熱する中国マーケットに向けて」内で、幸田氏が中国の展示会に日本のブランドが出展するメリットなどを語った。
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 幸田氏は経済産業省のクールジャパン事業の企画制作や、海外専門家としてジェトロ(日本貿易振興機構)に携わった経験を持つ。2001年に有限会社オープンクローズを友人たちと共同で創業し、代表取締役に就任。2014年から上海ファッションウィーク期間中に日本のデザイナーズブランドを中国のバイヤーに向けて発信するシントーキョーを出展し、現在30ほどのブランドが同ショールームを通じて上海に進出している。
中国市場ならではの特徴として、幸田氏は「バイヤーの反応がダイレクトで会場で交渉に発展する点」と「日本で無名でも商品が面白いと思われれば買ってもらえる点」に着目。パリや他の地域の展示会ではバイヤーが商品リストを持ち帰って検討するが、「中国(上海ファッションウィーク)ではバイヤーが気に入ればその場でセレクトして買い付ける。直にデザインのジャッジが下されるので緊張感がある」とスピード感があるバイイングについて説明した。中国国内は大手の老舗セレクトショップよりも新鋭の店の方がバイイングに熱心なため、しっかりと交渉すればヴィジョンやコンセプトに共感した上で長期的な関係を築けるほか、中国での小売ビジネスの基盤を構築することも可能だという。
 しかしながら幸田氏曰く、中国国内でもバイイングの経験を重ね、その場での交渉ではなく他国と同様に後日連絡を取るバイヤーも増加しつつあるという。その場合、バイイングの期日の設定や催促が必要となる点は他国でのケースとほぼ変わらない。ただ、「国外で無名の日本のブランドが中国で買ってもらうハードルは比較的低い。経験年数やブランドの背景に深くこだわらずに購入してもらえるケースは多く、また買い付けの金額自体は毎年増加しているので、進出先として魅力的だ」と語った。
 セミナーには、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)代表取締役社長を経験し、コンサルティングなどを手掛けるMD03を立ち上げた太田伸之氏も登壇。中国をはじめ、海外に進出する際にはあくまでも黒字化を目指すべきで、卸よりも小売の仕組みを独自に築く必要があると話した。中国のファッション業界の今を知るイベントとなった。
太田伸之氏
 
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