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『あなたの番です』田中要次ら主要人物に訪れる“交換殺人ゲーム” いよいよ警察も介入する事態に

2019年05月27日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 久住(袴田吉彦)と浮田(田中要次)のもとに脅迫文が届き、2人が引いた紙に名前が書かれていなかった102号室の児嶋佳世(片岡礼子)が殺される。このことから判断できることは、少なくとも浮田が「赤池美里」の名前を書いたという告白が真実であり、彼はまだ“自分の番”を遂行していないということ。つまり久住が書いた「俳優の袴田吉彦」を殺したのは浮田(とその子分たち)ではないということだ。そしてそれと同時に、これまで比較的順序よく繰り返されてきたように見えた“交換殺人ゲーム”が、大きく揺れ動き始めていると証明されたともいえる。


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 26日放送の日本テレビ系列日曜ドラマ『あなたの番です』第7話は、その揺れ動きの中で大きな急展開を迎えた。児嶋が殺されたことでキウンクエ蔵前の中で起こっている“交換殺人ゲーム”に、住民の1人ではあるが警察が介入することになる。早苗(木村多江)の夫・正志(阪田マサノブ)と、彼が取り込んだ刑事の神谷(浅香航大)が捜査に動き出すのだ。その一方で「あなたの番です」という脅迫文を受け取った浮田と久住の2人は正反対の行動をとるようになる。浮田は昔の犯罪仲間で、あいり(大友花恋)の父である西尾に会いに行き、あいりと会ってほしいと頼みこみ、久住は細川(野間口徹)を殺すか否かで思い悩むのだ。


 なかばゲームへの参加を放棄していると思える浮田。しかし彼はマンションのエントランスで久住と会い、自分が書いた紙(「赤池美里」と書いた紙だ)を引いた人物に心当たりがあると言ってエレベーターに乗り込んでいき(つまり2階以上に住んでいる誰か、ということだろうか)、その後ワイヤーで首を絞められて殺されたのだ。彼の死はゲームとは無関係なものなのか、それとも誰かが浮田の名前を書いていたのか、という新たな謎が生まれたようにも思えてならない。そして久住は細川を殺そうと計画し、彼の仕事場に押しかけ、2人同時にエレベーターから転落。この1エピソードで、これまでの物語の主要な部分を担っていた3人の登場人物が同時に命を落とすことになった。


 これであらゆる謎がふたたび振り出しに戻ったようにも思えるが、それでもいくつか大きなヒントになりそうな部分があったことは見逃せない。ひとつは久住が自分の書いた紙を誰が引いたか考えるシーンでフラッシュバックする最初の住民会。「袴田吉彦」と縦書きで書いた久住だが、縦に紙を開いている人物はわずかしかおらず、シンイー(金澤美穂)もその1人だったということ。また、脅迫文の筆跡は浮田のも久住のも同じであること。そして児嶋の死体が入ったゴルフバッグを送ったのは20代の若い男性だったという証言。これらがどのように結びついていくのかは読みきれない部分ではあるが、いずれにしても久住が細川を殺したことによって、次は菜奈(原田知世)の番がやってくるということになる。これが2クールに渡る本ドラマの前半のクライマックスというわけだ。


 ところで今回の中盤、菜奈と早苗と推理を進めていた沙和(西野七瀬)が、ゲームに参加した13人全員について「自分で書いた紙を自分で引いた人がいる可能性がある」とつぶやき、なにやら数式を書いてひとつの確率を見出すシーンが登場した。最初に“モンモール数”と書いていることからも、これは有名な「モンモールの出会いの問題」ということがわかる。完全順列や撹乱順列と言われているこの問題は、トランプのカード合わせを用いて数学者のピエール・モンモールが1708年に提唱し、1740年ごろに別の数学者レオンハルト・オイラーが解決したものだ。


 このドラマの設定に置き換えてみると、住民会に参加した13人に1から13まで番号を振って、それぞれが書いた紙に同じように1から13まで数字を振ったとする。それぞれが自分の書いた紙を持たないように並べることができたときに、この完全順列が完成することになる。1セットも同じ数字の組み合わせが完成しない確率(つまり全員がバラバラの紙を引く確率)は約37%。つまり63%の確率で少なくとも誰か1人は自分の書いた紙と同じ紙を引くことになるというわけだ。ちなみにこの参加人数が13人より多くなってもその確率は約37%のままだと言われている。ゲームの参加者=13人という数字は、13枚のトランプを表しているのだろうか。ということは、すべてをかき乱すジョーカーは13人の外に潜んでいるのかもしれない。 (文=久保田和馬)