F1第6戦モナコGPの舞台であるモナコ市街地サーキットは、曲がりくねった低速サーキットであるため、車体やエンジンの性能が反映されにくいコースといわれる。それでも、その性能がまったく反映されないわけではないことは、今年最強のメルセデスが開幕から6連勝を果たしたことでもわかる。
そのメルセデスを、レッドブル・ホンダはモナコGPで追い詰めた。優勝したルイス・ハミルトンは「今日は僕のキャリアの中で最もタフなレースの1つだった」と、マックス・フェルスタッペンとの60周以上に渡るバトルを振り返った。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも「(メルセデスを)後ろから突っつくことができるパフォーマンスを見せられたのは良かった」とレッドブル・ホンダの戦いぶりを満足するとともに、勝者を次のように称えた。
「マックスもかなり攻めていましたが、ここはモナコ。ハミルトンもうまかった。タイヤをセーブしながら、メリハリのある走りでマックスの攻撃をうまくかわしていました」
ハミルトンの0.5秒差の2番手でチェッカーフラッグを受けたフェルスタッペンだが、モナコの王室が同席する表彰台にフェルスタッペンの姿はなかった。11周目のピットストップした際、ピットアウト直後のピットレーンでフェルスタッペンがバルテリ・ボッタス(メルセデス)と接触したため、レース審議委員会から5秒のタイムペナルティを科せられていたからだ。
ただし、田辺TDは、これもモナコGPではよくあること。避けられないアクシデントだったと受け入れた。
「あのピットアウトは仕方がない。もし、あそこで(ボッタスが行くまで、ピットアウトを)待っていたら、ボッタスの直後にいたベッテルも『どうぞ』という形になってしまって、レースにはならなかったでしょう」
そのピットアウトで、フェルスタッペンはもうひとつの不運に見舞われていた。
「トルクモードが適切な状況となっていなかったんだ」(フェルスタッペン)
チーム関係者によれば、通常ピットレーンでしか使用しないトルクモードのまま、ピットアウトしてしまったという。トルクモードの変更はピットレーンでしか行えないため、1ストップ作戦だったフェルスタッペンはその後、チェッカーフラッグまで適正なトルクモードではない状態で走行しなければならなかった。
それにも関わらず、フェルスタッペンは2番手にとどまっていただけでなく、ハミルトンと優勝争いを繰り広げた。
表彰台にはとどかなかったが、表彰台以上に価値のある4位だったと言っていいだろう。