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F1モナコGP決勝:激闘を制したハミルトンが辛勝。フェルスタッペンはペナルティで2位を失うも、ホンダPU勢が4台入賞

2019年05月27日 00:21  AUTOSPORT web

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2019年F1第6戦モナコGP決勝はタイヤに苦しみながらもルイス・ハミルトンが優勝
2019年F1第6戦モナコGP決勝は、メルセデスのルイス・ハミルトンが優勝を飾った。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは4位、ピエール・ガスリーは5位入賞を果たしている。

 5月26日現地時間午後3時10分、モナコGPの決勝が行なわれた。雨の予報もあった日曜だが、朝のうちに時折小雨がパラつく程度で午後は晴れ間も出る天候になり、気温は22度、路面温度は33度というコンディションになった。決勝前にはニキ・ラウダを追悼し全ドライバーが赤いキャップを被って黙祷を捧げた。

 予選で他車の進路妨害をしたガスリーとアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)は3グリッド降格ペナルティを科され、ガスリーは8番グリッド、ジョビナッツィは18番グリッドからのレースとなった。

 Q3進出組は全車がソフトタイヤ、11番グリッド以下はロマン・グロージャン(ハース)とアルファロメオ勢だけがソフトタイヤでそれ以外はミディアムタイヤを履く逆の戦略を採ってきた。

 スタートでポールポジションのハミルトンはホールショットを奪うが、2番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)はやや加速が鈍くフェルスタッペンがインに並びかける。しかしターン1ではなんとか前に出て2番手を守り切った。

 後続もグリッド順に4番手セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、5番手ダニエル・リカルド(ルノー)、6番手ケビン・マグヌッセン(ハース)という順で、ガスリーがターン1でダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)を抜いて7番手に浮上。

 カルロス・サインツJr.(マクラーレン)もクビアトの前に出る。10番手にはアレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)が続いた。

 15番グリッドのシャルル・ルクレール(フェラーリ)は1周目で13番手まで順位を上げ、その後も前走車たちに対してアグレッシブな走りを仕掛けていく。

 ハミルトンはファステストラップを連発して2番手ボッタスを引き離そうとするが、ボッタス以下もこれに付いていく。しかし5番手リカルドは1周あたり3秒近く遅いペースで上位勢との差を広げられてしまう。

 ルクレールは7周目にラスカスでグロージャンのインに飛び込みパス。翌8周目には同じようにニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)のインに飛び込むが今度は接触しイン側のガードレールに右リヤを引っかけてスピン。

 これでグロージャンに再び先行を許したうえ、翌周には右リヤがパンクしてしまう。諦めないルクレールはほとんどペースを落とすことなく走り続け、裂けたトレッドやタイヤから出たワイヤーがボディを激しく叩いて壊し、破片をまき散らしながらピットに戻った。

 コース上に出たデブリ処理のためセーフティカー導入となり、上位の各車が続々とピットイン。ここでフェルスタッペンが僅かにボッタスの前で戻って2番手を奪い取る。

 しかしフェルスタッペンの発進タイミングは危険リリースの疑いで審議対象となったほか、ピット出口手前ではボッタスと僅かに接触し「彼は僕を壁に押しやった」と指摘された。これに対しスチュワードはフェルスタッペンに5秒加算ペナルティを科した。



 ハードタイヤを履いたフェルスタッペンとベッテルに対し、メルセデスAMG勢はミディアムタイヤをチョイス。しかしボッタスは翌周もう一度ピットインしてハードタイヤに履き替えた。リカルドとマグヌッセンもピットインして13番手・14番手まで後退したが、ガスリー以下はソフトのままステイアウトしてポジションを2つ上げた。

 レースは15周目に再開。ハードタイヤに履き替えたルクレールは周回遅れは取り戻したものの最後尾まで落ちている。15周目のラスカスではジョビナッツィがロバート・クビサ(ウイリアムズ)のインを突いてクビサがスピン。

 後続のジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)とルクレールが行き場を失ってしばらく停止させられたが、各車が自力でレースに復帰しFIA-F2のように赤旗にはならずに済んだ。

 ルクレールは16周目にピットインしソフトタイヤに履き替え「諦めたくない」と言ったものの翌周ピットに戻ってリタイアを余儀なくされた。

 首位ハミルトンはミディアムタイヤを保たせるためにペースを抑えて走行。そのため2番手フェルスタッペンと3番手ベッテル、4番手ボッタスを背後に抱えたままの走りを余儀なくされる。

 30週目を迎える頃にはフェルスタッペンがプッシュを開始しハミルトンにプレッシャーを掛けていく。それと同時にボッタスはペースが鈍りやや遅れ始める。

 コース上には小雨がパラつき始める中、27周目にガスリーがピットインしてミディアムに交換し8番手に後退。30周目にサインツがピットインしガスリーの後方に戻った。

 32周目にはクビアトがピットインするが、僅かにサインツに届かず、そのままサインツの後方でコース復帰となった。アルボンは40周目まで引っ張ってピットインしクビアトの後方9番手に戻った。レース序盤のセーフティカー中にピットインしたリカルドとマグヌッセンだけがポジションを落としたかたちになった。

 40周目を迎える頃には雨脚がやや強くなるが、まだ各車ともドライタイヤで走行を続ける。ハミルトンはミディアムタイヤの選択が間違いではなかったかと不満を訴えるが、チームはこの戦略が正しいと確信していると伝える。


 後方ではスタートタイヤのままステイアウトを続ける11番手キミ・ライコネン(アルファロメオ)を先頭にリカルド以下が押さえ込まれるが、ライコネンは47周目にピットイン。

 さらに48周目にランド・ノリス(マクラーレン)、50周目にグロージャンがピットインし、これで全車がピットストップを終えて中団勢は6番手サインツ、7番手クビアト、8番手アルボン、9番手グロージャン、そして10番手にリカルド、11番手にノリス、マグヌッセンは12番手に後退している。

 ここからはしばらく動きのない周回が続いたが、62周目に後方とのギャップが充分にあるガスリーがソフトタイヤに履き替えアタックを行なう。

 この時点まではアルボンがピットアウト直後にファステストラップを記録していたが、65周目にボッタスがプッシュして1分15秒163のファステストを記録。

 ガスリーは66周目にこれを大きく上回る1分14秒567を記録。さらにクールラップを挟んで72周目には1分14秒279までタイムを縮め、ファステストポイントを奪い取った。

 残り10周となったところでフェルスタッペンには決勝用セッティングの中でややパワフルなモード7の使用が指示され、これを受けてメルセデスAMGもハミルトンにオーバーテイクボタンの使用を許可。ヘアピンではハミルトンがフェルスタッペンを惹きつけ、トンネルからヌーベルシケインで付け入る隙を与えないように走る。

 76周目のヌーベルシケインでフェルスタッペンは、ハミルトンのインに飛び込もうとするが仕掛けるのがやや遅く、ターンインを開始していたハミルトンに対してフェルスタッペンはフルブレーキングでタイヤをロックさせてなんとかクラッシュを回避したものの、両者はタイヤ同士が僅かに接触し、フェルスタッペンもガードレールに接触しながら大きなダメージを負うことなくクリアした。

 ハミルトンは辛くもミディアムタイヤを保たせつつ首位を守りきってトップでチェッカードフラッグを受け今季4勝目を挙げた。フェルスタッペンは2位でフィニッシュしたものの5秒加算ペナルティを受け4位に後退。

 2位はベッテル、3位はボッタスという結果になり、ガスリーが5位、中団トップの6位はサインツ、7位クビアト、8位アルボンでホンダ勢は4台全車が入賞を果たした。

 9位はリカルド、グロージャンはピット出口の白線カットで5秒加算ペナルティを科され10位という結果になった。