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TWICE、IZ*ONE、PENTAGON、公園少女…『KCON』最終日から感じたイベント開催の意義

2019年05月26日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 世界各国で開催されるK-Cultureのお祭り『KCON』は、K-POPをはじめ、ドラマ、コスメ、ファッション、フード、雑貨など、さまざまな韓国のカルチャーを楽しむことができるイベントだ。日本では2015年より開催され、今年2019年の開催で5回目を迎えた。もはや日本でも毎年の恒例イベントとして定着してきたのではないだろうか。ファンの中には春の『KCON』を心待ちにしている人も多いだろう。



 『KCON 2019 JAPAN』は幕張メッセで5月17日から19日までの3日間、去年よりもさらにグレードアップした規模で開催された。メインイベントであるコンサート『KCON 2019 JAPAN × M COUNTDOWN』では、TWICE、MONSTA X、IZ*ONEという日本でも人気を誇るグループを各日のヘッドライナーに迎え、ITZY、THE BOYZなどの新人グループを含めた合計29組のアーティスト、グループがパフォーマンスを行い、大盛況のうちに幕を閉じた。今回は、過去最大の来場者数を記録した、『KCON 2019 JAPAN』最終日の様子をレポートする。


様々なK-Cultureに触れられる“お祭り”

 2012年より始まった『KCON』は年々規模を広げており、今年も日本、アメリカ、タイでの開催が決定している。『KCON 2019 JAPAN』は、今年の『KCON』のスタートを切るイベントとなった。



 『KCON』で注目したいものの1つは、様々なコンテンツを楽しめるコンベンションエリアにあるだろう。今年の『KCON 2019 JAPAN』では、幕張メッセ国際展示ホールのほとんどを使い、K-POP(音楽)、ドラマ、フード、ファッション、コスメなどの韓国文化を伝える236個ものブースが出展した。各ブースでは日本初上陸の商品やサービスが提供され、多くの人たちが最新の韓国カルチャーを体験しに集まっていた。



 特に今年は、『KCON GIRLS』という韓国のファッションやコスメのトレンドに敏感な若い女性たちをターゲットにし、そこにK-POPのガールズグループたちがコラボレーションした新しいコンテンツが生まれた。特にIZ*ONEとコラボレーションしたコスメブランドでは連日行列ができ、完売が続出。また、3日間毎日開催された『KCON GIRLS』のステージでは、『PRODUCE 48』に出演したAKB48のメンバーや、今注目されている新人グループ・ITZYがファンの前でトークイベントを行い、多くのファンを熱くさせていた。



 コンベンション以外にも、今年はソ・ガンジュンや、ヨ・ジングなどの人気俳優たちのファンミーティングや、アーティストたちに近くで会える『MEET & GREET』も連日開催。人気のグループや俳優のチケットは即日完売するという状況だった。


ステージでは多数のK-POPのイベントを開催

 来場者に特に人気があるのが音楽=K-POPのプログラムだ。今年も様々なライブや、トークイベントに多くのアイドルグループやアーティストたちが参加した。『KCON』は、新人グループやこれからが期待されるグループにとっては格好のプロモーションの場になっている。そのため、ほぼ毎日毎時間、どこかで誰かがイベントを行なっているという状態になるのだ。


 コンベンションエリアで一番大きいステージである『KCON STAGE』では様々なミニライブが行われ、ステージの外まで人で溢れているということが連日起こっていた。特に『KCON 2019 JAPAN × M COUNTDOWN』直前に開催された『CONVENTION LIVE』では、ATEEZやSF9などの人気グループが登場し、ライブ前にファンの心を熱くしていた。



最終日『KCON 2019 JAPAN × M COUNTDOWN』のヘッドライナーはTWICE

 『KCON』のメインイベントといえば、夜に開催される『KCON 2019 JAPAN × M COUNTDOWN』だ。今年は29組のグループ、アーティストが参加した。3日目である19日は、最終日の最後を飾るライブということで、多くのファンたちが来場した。



 開場前のプレステージでは新人のMY.stと、日本活動を頻繁に行なっているSNUPERがパフォーマンス。本編前に会場の空気にエンジンをかけたところで、トップバッターのONEUSが登場。デビュー曲の「Valkyrie」をパフォーマンスすると、会場からは曲に合わせて掛け声が。デビューしたばかりだが、すでに多くのファンをつけている様子だった。



 続いて妖艶な空気をまとったVAVが登場。2015年にデビューした彼らも、今年で4年目。『KCON』は初出演ながらもライブ慣れした落ち着いたパフォーマンスを見せた。フラメンコギターのようなイントロが印象的な「Senorita」を披露すると、熱い拍手の中ステージを後にした。


 日本人メンバー・MIYAが所属する公園少女は「Pinky Star」から元気いっぱいにスタート。曲中でMIYAを中心としたダンスブレイクになると、会場からは大きな歓声が上がった。初めての『KCON』、そして大きなステージだったというが、堂々としたパフォーマンスを見せてくれた。



 今年の『KCON 2019 JAPAN × M COUNTDOWN』は新人グループの出演が多いのが特徴だ。公園少女も2018年のデビュー。日本人メンバー・HARUが所属するNATUREや、パワフルなステージを披露したD-CRUNCHも去年デビューしたばかりだ。どのグループも個性があり、K-POPの層の厚さを感じさせた。



 途中、TWICEのスペシャルステージを挟み、サバイバル番組『アイドル学校』出身のfromis_9がパフォーマンス。ラベンダー色の衣装をまとい、清純ながらも可憐なステージを披露した。



 今年で3回目の『KCON』参加になるSF9が登場すると、会場の掛け声は一層大きくなった。「Enough(綺麗にならないで)」をセクシーにパフォーマンス。続いて新しいSF9を定着させた「Now or Never」を披露。3年前に「Fanfare」で初々しく日本デビューした彼らの成長を感じさせた。



 そしてスペシャルステージでは、SF9のインソン、ロウン、PENTAGONのジンホ(ジノ)、フイによる特別なコラボレーションが。4人が歌ったのは、コン・ユが主演し話題を呼んだドラマ『トッケビ』のOSTからバラード曲「Beautiful」。美しいハーモニーが会場を包んだ。グループを横断したコラボは『KCON』ならではといってもいいだろう。



 しっとりした空気に包まれた中、IZ*ONEが登場。1日目に引き続き、最終日にも登場した彼女たちは、ファンたちの割れんばかりの大きな歓声の中、メインステージで日本1stシングル曲「好きと言わせたい」を披露。堂々とした佇まいに、『PRODUCE 48』の厳しいサバイバルを勝ち抜いてきた12人の凄みを感じた。「Violeta」「UP」「La Vie en Rose」「RUMOR」と計5曲歌い上げると、熱気に包まれたままステージをおりた。



 ライブの終盤には、PENTAGONがダンスパフォーマンスから登場。韓国での最新曲「SHA LA LA」を披露し、怪我から復帰したキノを含めた完全体でのパフォーマンスに会場は一層盛り上がった。曲の間にちょっとしたゲームを披露した後、日本メジャーデビュー曲の「COSMO」、そして最後に「SHINE」のイントロが流れると、観客は総立ちで大いに盛り上がった。


 スペシャルステージでのガールズグループによるTWICEカバーメドレーを挟み、いよいよヘッドライナーのTWICEの登場。最新曲「FANCY」が始まると、会場のほとんどがONCE(ワンス=TWICEのファンの呼称)なのではないかというような大歓声に包まれた。新曲の「FANCY」では今までより大人っぽくなったという話だったが、キュートな雰囲気も感じられた。



 また、曲間には観客を指名してTWICEのダンスを踊ってもらうコーナーなどがあったのだが、誰もが普通に踊れることに驚いた。一度覚えたらすぐ踊れるポイントダンスやキャッチーなメロディはTWICEにしかない魅力なのだろう。


 トロッコに乗って観客の近くまで行きファンサービスを行なったTWICEは、最後に夏の曲「Dance The Night Away」で熱いステージを締めくくった。


 エンディングでは出演者全員がステージへ登場。紙吹雪が舞う中、今年の『KCON 2019 JAPAN × M COUNTDOWN』が終了し、『KCON 2019 JAPAN』も幕を閉じた。



最高の来場者数を記録した中で課題も

 今年の『KCON 2019 JAPAN』の来場者数は、史上最高の8万8000人だったという。特に、2016年は10~20代は全体の観客39%だったが、2018年には69%に増加し、10代の来場者は過去2年間で4倍になったという。昨今の第3次K-POPブームが若い層が中心になって盛り上がっていることがわかる。


 しかし、来場者数の倍増と、ファンの層の広がり、年齢層が下がったことによる課題も浮かび上がってきた。それは「マナー」の問題だ。『KCON』には様々な禁止事項(一眼レフでの撮影禁止、脚立や踏み台の持ち込み禁止、公演中の座席移動禁止など)があるが、そのルールを守らない人たちを多く見かけた。


 今後、『KCON』の規模が大きくなり、さらに来場者が増えてくると考えた場合、このままの状況は決していいとは思えない。5年連続で日本で開催されてきた『KCON』を今後も続け、誰もが楽しく過ごすためにも、これからの対策を真剣に考えていかなくてはならないだろう。


(メイン写真=「KCON 2019 JAPAN」 ⓒ CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved)


■西門香央里
東京在住のフォトライター。K-POP、韓国トレンド、旅行、グルメ、カルチャーなどを中心にWebメディアなどで活動中。年3~4回の渡韓でエネルギーを蓄えている。いつまでも年齢不詳でありたい通年おかっぱの人。座右の銘は「努力は裏切らない」。
寄稿媒体:いまトピ、エキサイト、TABIZINE、SHELBEE…等