メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウォルフは、チームのノンエグゼクティブチェアマンであるニキ・ラウダの急逝以来感情的に不安定であると語り、これまでの48時間は「ひどいものだった」と明かした。
ラウダは5月20日(月)の夕方に亡くなったが、F1のレジェンドであるラウダの思い出を称える追悼の声は今も上がり続けている。
F1は今週末のモナコGPで独自の追悼式を行う予定である。またメルセデスは、チームのマシンに特別なメッセージとして、“Danke Niki(ありがとう、ニキ)”を施している。
グランプリの週末に、多くの時間をラウダとともに過ごしたウォルフにとって、偉大なオーストリア人であるラウダの急逝は個人的に大きな打撃となった。
「私は友人として感情で胸がいっぱいだ」とウォルフは語った。
「これまでの48時間はひどかった。自分をゾンビのように感じていた。写真を見続け、涙にくれている自分に30分ごとに気付くのだ。なぜなら彼はもうそこにいないからだ」
「それはまさに巨大な黒い雲のようだ。彼はこのチームとF1において広く惜しまれている。私はF1の精神的支えを失ったように感じている」
ウォルフとラウダの友情は、何年も前にウォルフがウイリアムズの株主となったことから始まった。
2018年の夏に肺の移植手術を受けたラウダは、そのわずか数カ月後にインフルエンザに感染し、年末には容体が悪化していたが、ウォルフは彼の状態について常に最新の情報をつかんでいた。
「我々は彼の容体が良い方に向かっていないことを知っていた」
「おそらく数日のことだったのだろう。月曜日の夕方に彼の妻からテキストメッセージを受け取った。私はパリにいた」
「それ以来、私は自分が自分ではないように感じる。ニキがもういないF1のパドックにいるのは、非常に奇妙な感覚だ」
「それが起こることは分かっていたとはいえ、実際に起こってしまうと、もう彼に会うことはないという現実が生々しく迫ってくる」
また水曜日には、ルイス・ハミルトンは午後のドライバー会見に現れるはずだったが、ラウダの死によってあまりにも動揺していたため、メディアの前に出ることができなかった。
ハミルトンは彼のメディア対応の義務を辞退したことで相応の非難を受けたが、ウォルフは「親しい友人を亡くした後、48時間以内にそのことについてコメントするのは非常に難しい」と主張してハミルトンを擁護した。
「我々は同時にメッセージを受け取り、その直後とこの何日間か言葉を交わした」
「誰もに独自の哀悼のやり方や、悲しみの感じ方があるだろう」
ウォルフは木曜日に、レースウイークを通して「我々はコメントをしたり、悲しい状況について思い出させられることには耐えられない」として配慮を求めた。
「そして我々が自分たちのレースにおいて前進を続けることができるということを受け入れてほしい」
「それこそが、ニキが私たちに望むであろうことなのだ」