F1第6戦モナコGPフリー走行1回目でレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがメルセデス勢2台に割って入って2番手につけたとき、「もしかしたら、モナコGPではメルセデスと戦えるかもしれない」と思った人もいただろう。しかし、「これはコースインしたタイミングの問題」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)だった。
現在のF1は90分間で行われるフリー走行1回目は、前半の40分間(11時00分~11時40分)と後半の50分間(11時41分~12時30分)の2つに事実上、分かれている。
それは前半の40分以内にタイヤを1セット返却しなければならず、残りの50分は2セット目のタイヤを装着するからだ。前半の40分は路面が汚れているから、ベストタイムはほとんどの場合、残りの50分間で記録される。
この後半の50分のセッションで、メルセデスは早めにコースインしていたのに対して、マックス・フェルスタッペンは15分ほど遅れてコースインしていた。
「モナコは市街地サーキットなので、コースに出るタイミングで(グリップ力が)大きく変わってきます」と田辺TDが言うように、メルセデス勢はハミルトンが11時46分に、ボッタスは11時55分にベストタイムをマーク。フリー走行1回目で4番手と5番手だったフェラーリ勢もシャルル・ルクレールは11時44分、セバスチャン・ベッテルが11時45分と早めに出したタイムだった。
これに対して、フェルスタッペンの最速タイムは12時05分。6番手のピエール・ガスリーに至っては、フリー走行1回目の終盤の12時26分に出したタイムだった。つまり、フリー走行1回目のポジションは、あまり参考にならなかったのである。
■マックス・フェルスタッペンはタイム改善の余地あり
そのことは、フリー走行2回目に入って、明らかになる。メルセデス勢が1分11秒台前半を叩き出したのに対して、レッドブルはガスリーが1分11秒938の4番手。フェルスタッペンは1分12秒052で6番手に終わった。
もちろん、フェルスタッペンはニュータイヤに履き替えてタイムアタックを開始した直後に、「インダクションポッドからデブリが入って、ラジエターが水漏れを起こして、交換するためにピットインしなければならなかった」(フェルスタッペン)という不運があり、もう少しタイムは縮められただろう。
ただ、田辺TDによれば、「ラジエターを交換した後の走行でも、マックスはあまりハッピーではなかったようです」と、土曜日に向けてはやるべき課題は多いようだ。
とはいえ、「方向性を見失っているわけではないので、いい滑り出しだったと思います」と田辺TDが語るように、まだ挽回する余地は十分残されている。
特にこの日のフェルスタッペンのベストタイムは、フリー走行2回目が始まってすぐに履いた1セット目のもの。この日、3番手のベッテルの1セット目の最速タイムは1分12秒730だったことを考えれば、メルセデスはともかくフェラーリ勢とは十分に戦えるポテンシャルはあるようだ。