元F1世界チャンピオンであるニキ・ラウダ死去の悲しみが癒えないまま迎えた第6戦モナコGP。メルセデス移籍後、ラウダと深い絆で結ばれていたルイス・ハミルトンは、水曜日のFIA記者会見を急きょ欠席したほどだった。
ハミルトンの代役を務めたのは、チームメイトのバルテリ・ボッタス。会見の冒頭、ラウダの死について尋ねられたボッタスは、次のように答え、見事にハミルトンの代役を全うした。
「今週初めに飛び込んできたニュースは、だれにとっても本当に衝撃的なものだった。 彼(ラウダ)は僕にとってだけでなく、ファクトリーを含むチームメンバーの全員にとって、大きな存在だった。メルセデスにとってだけでなく、レース界においても、彼はかけがえのない存在だった」
「彼がこの世界で達成したこと。特に困難な状況(1976年ドイツGPの大事故)からカムバックして、成功を収めたことは、すべてのドライバーやファンの胸を熱くしたと思う。 そういう、レジェンドでありながら、彼は人間としても素晴らしい人格の持ち主だった。彼とのたくさんの良き思い出を僕たちは決して忘れない」
「彼の死はもちろん、悲しいニュースだけど、いま僕ができることは強い気持ちを持って、全開でマシンを走らせること。ニキもそれを望んでいると思う」
ボッタスとともに予定通り会見に出席したのは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ダニエル・リカルド(ルノー)、ロバート・クビサ(ウイリアムズ)の4人。
まず、モナコGPが母国グランプリとなるルクレールへ。フェラーリドライバーになった今年は、多くの写真やポスターが町中に見かけるが、普段のモナコでの生活はどうかと問われると、ルクレールは次のように答えた。
「僕よりももっと有名なドライバーがここにはたくさん住んでいるから(笑)。しかも僕はモナコ出身で、小さな頃からここで育っているので、特に変化は感じていない。確かにグランプリになると大勢のファンが世界中から集まるので、状況は異なってきくるけど、それ以外の時期の普段の生活は普通だよ」
「ただ、これはこれまでもなんども言ってきたことだけど、F1で走るコースは5歳か6歳のころ、学校に行くときに通ったのと同じ道なので、ちょっと変な感じということさ(笑)」
■表彰台争いに自信を持つマックス・フェルスタッペン
次はフェルスタッペン。今週末の勝算を尋ねられると、フェルスタッペンは冷静にこう回答した。
「今年のモナコGPはハッキリ言ってメルセデスに向いている。これまでは僕たちが良かったけど、昨年までのようにはいかないだろう。 ただ、表彰台は狙える。あとは表彰台のどの段に上がるかだ」
昨年のモナコGPで涙の優勝を飾ったリカルドには、現実的な今年の目標は何かという質問が。
「正直、今年僕たちが表彰台争いをするとは思っていなかったので、現在の状況をそんなに驚いているわけではない。だから、モチベーションは下がってはいないよ。だって、僕がこのチームに移籍すると決めたときに、チームが計画していたことが、まだ現在進行形だから。もちろん、できればもっと良い結果を望みたいところだけど、僕はその結果にたどり着くための過程をいまはチームと一緒に楽しんでいるんだ」
最後はクビサ。今年のモナコGPはクビサにとって2011年以来、8年ぶりとなるが、じつはクビサはそれ以前にモナコで行われたカートのレースで2回優勝し、F1でも表彰台に2回上がっている(2008年2位、2010年3位)。またモンテカルロラリーでもリードした経験があるが、それのうちどれが最高の思い出かという問われ、こう答えた。
「その通り、僕がここで初めてレースをしたのは1998年のゴーカートだった。おそらくこれは素晴らしい日思い出のひとつだろう。 もちろん、F1で表彰台を獲得した2つの思い出も忘れられないものだ。 でも、ラリーも僕にとっては特別な思い出なんだ。でも、その話をこれ以上するのはやめておくよ。 だって、ここはラリーよりも多くのF1ジャーナリストがいて、F1ファンが彼らの記事を読むんだからね」