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富田克也監督の新作『典座 -TENZO-』がカンヌで公式上映 海外版特報公開

2019年05月22日 19:41  CINRA.NET

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『第72回カンヌ国際映画祭』の模様 ©全国曹洞宗青年会
富田克也(空族)監督の最新映画『典座 -TENZO-』が、『第72回カンヌ国際映画祭』国際批評家週間「特別招待部門」で公式上映。あわせて海外版特報が公開された。

全国曹洞宗青年会から依頼を受けて製作された同作は、禅宗の寺院において僧侶や参拝者の食事を司る役職「典座」に注目した作品。道元禅師による『典座教訓』を軸に「3.11」以降の日本における仏教の意義、信仰について探求する。今秋に日本公開予定。同じく秋にフランスでの公開も決まっており、上映館は150館超を予定している。

現地時間の5月20日に行なわれた『カンヌ国際映画祭』での上映前には、富田克也監督、製作、出演を兼務した全国曹洞宗青年会の河口智賢、倉島隆行らが登壇。富田監督は「かつて日本は世界第2位の経済大国と言われ、仏教は葬式の時のものでした。ただ、2011年に起きた東日本大震災による津波の被害、そして原発事故によって、日本は大きな危機を迎えました。それ以降、彼ら僧侶たちは皆から必要とされ始めているように感じていると言います」「今こそ、私たち日本人は変わらなければいけない。加えて、仏教界も変わらなくてはいけないという彼ら僧侶たちの思いを映画に込めました」と語った。

また河口は「カンヌ映画祭とご縁を頂いて本当に心から感謝しています。私たち日本人は8年前に深い悲しみを迎えました。その中で、私たち僧侶ができることは何なのか、それを日々考えてきました。私たち僧侶も一人の人間です。時に苦しみ、葛藤しながら日々生活をしています。それでも、いつも人々の心に寄り添う仏教の素晴らしさを伝えたいと言う思いで、この映画を制作しました」と述べた。

NORIKIYOの楽曲“1人の人として”を使用した海外版特報には、自殺未遂を繰り返す女性からの「いのちの電話」を受ける河口の姿や、東日本大震災の津波で寺も檀家もなくした倉島が土木作業員として働く様子などが映し出されている。