近年、「ゴミ屋敷」や「汚部屋」が問題になり、メディアに取り上げられ話題になっている。そんな中、今年4月、「ゴミ屋敷清掃士認定協会」が設立された。ゴミ屋敷清掃事業を展開するテンシュカクの新家喜夫代表が理事長を務める。
協会サイトによると、「ゴミ屋敷清掃士(HCS)」とは、「ゴミ屋敷のことを十分に理解し、ゴミ屋敷清掃のプロフェッショナルとして、確かな『技術』『知識』『自覚』を有した人だけが認定される資格」とある。同資格を保有している清掃者・業者について、
「ゴミ屋敷の清掃に関して、適正な見積もり、適切な清掃作業、適切な処分をお約束します」
とコメント。同協会の指針として、「企業・行政と連携し、ゼロゴミ屋敷実現」「安心して依頼できる業者の認定・紹介」「プロ育成支援」「業者向けノウハウ提供」などがあげられている。
法外な料金をだましとる悪徳業者等、ゴミ屋敷清掃業界を健全化させるために発足
協会は「ゴミ屋敷はどのような方でもなる可能性があり、ご自身の身近にいる方が、ゴミ屋敷や汚部屋の住人ということもあり得る」と指摘。また、高齢化社会が進行し、体力や認知力が衰えることで自宅をゴミ屋敷にしてしまう高齢が増加しているという。
ゴミ屋敷を放置すると、火災や害虫、悪臭の発生などなどさまざまなリスクが伴う。しかし、清掃業は新規参入が容易なため、法外な料金をだまし取る悪徳業者も増加している。新家理事長はキャリコネニュースの取材に、
「利用者から、業者に恐喝まがいなことをされたというトラブルもありますが、多いのは見積もりとサービス内容・料金が異なるといった声が多く上がっています。見積もりで15万円と提示されたが、終わってみると『この料金では玄関のみ。家すべて清掃するには50万円かかる』と言われたという人もいました」
と話す。ゴミ屋敷清掃業界を健全化させるためにも協会を発足させた。集客が難しい会員に、仕事の斡旋も行っていくという。
「最も時間がかかったのは、10年間分のゴミがの天井まで積み上げられていた1ルーム」
ゴミ屋敷清掃の相場価格について、新家代表は「軽トラで済むのか、2トントラックが必要になるのか、どれだけの量や時間になるのかによるので一概には言えませんが、弊社では大体1件あたり20万円程度です」と語る。
「最も時間がかかったのは、10年間分のゴミが1ルームの天井まで積み上げられていた案件。片付けに3日かかりました」
清掃の際には、依頼人の意向に真摯に向き合うことが重要になってくる。一見ゴミのように見えても、依頼者にとっては大事なもの、ということもある。ヒアリングを行ってから清掃に挑む。また、片付けを行う際は、ハガキ1枚でも個人情報を流出させない、ゴミと資源を徹底的に分別する、といった点にも配慮しているという。
今後について、新家理事長は、「ゴミ屋敷で困っている人の助けになるよう活動し、同業者がビジネスに繋げられるようサポートしていきたい。都内で7月11日に開催される協会レセプションパーティーに向けて、周知していきたいです」と語った。