月曜日に急死した元F1世界チャンピオンのニキ・ラウダについて語ったジャッキー・スチュワートは、やはりあの大事故のことが強烈な思い出として残っているという。その大事故とは1976年ドイツGPが開催されたニュルブルクリンクのことで、ラウダは大火傷を負いながらも九死に一生を得ていた。
「あの事故の際、実際のところニキは二度死んでいた。そしてその度に、信じられないほどに強い生きる意志で、こちらの世界に戻って来たのだ。しかし三度目の今回は、残念ながら奇跡は起きなかった」
「事故直後のイタリアGPで、私はBBCのコメンテーターとしてモンツァに来ていた。そこにニキの姿を見たときには、本当に驚いたよ。まだ傷も癒えていないのに、絶対に出場すると言って聞かなかった」
「ヘルメットをかぶる際には、ものすごい痛みに苦しんでいるのが傍目にもわかった。コースを何周かしてガレージに戻って来たときにはヘルメットから血が滴り、フェイスマスクは真っ赤だったよ」
「ニキが亡くなったことを、どう受け止めたらいいのか、いまだにわからない。私が現役引退を決意した年に、ニキはF1にやって来た。そして1973年のシーズンを、いっしょに走ったんだ。1年目から実に滑らかな、流れるようなドライビングをしていたことが今も忘れられない。間違いなくF1史上、最も偉大なドライバーのひとりだ」