2019年05月22日 10:41 弁護士ドットコム
美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が空き巣被害にあい、金塊7キロなどを盗まれていたと報じられている。共同通信の報道によれば、金塊の時価総額は3000万円以上とみられる。
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高須院長に限らず、資産家は「金の延べ棒」や「金塊」などの資産を所有することが知られている。一体なぜ、お金持ちは資産を「金」で所有することを好むのか。相続問題に詳しい新保英毅弁護士に聞いた。
「お金持ちが、財産として金地金(金塊)を保有するメリットはいくつか指摘できます。 たとえば(1)株式等の有価証券や不動産と異なり経済情勢の変化によって価値が下がりにくいこと、(2)現金とはことなりインフレに強いこと、(3)少量でも価値が高く持ち運びが自由であること、(4)換金性が高く、世界中で流通していること、などがあげられます。 また、不動産と異なり、金には固定資産税がかかりません。その反面、株式や不動産のように短期間で大幅な値上がり益を得ることは期待できません。ですから、金の保有は、資産のリスク分散の意義があります」
相続においては、どうか。
「金等の貴金属も相続税の課税対象となります。相続税評価は、相続開始時の時価相場を基に計算されます。ですから、相続税の節税というメリットはありません。
ただし、(1)換金性が高い、(2)小分けに分割しやすいという点は、遺産分割をする上で便利でありメリットと言えます。
特に不動産を相続する際には、売ろうとしても売れないことや、ほかの相続人との協議が難航する恐れがありますので、そういった点に比べると、前述の2点は大きなメリットと言えます。
なお、金地金(金の延べ棒)であれば保有していても税務署に知られないので相続税を払わなくてよいというのは誤りであり、単なる脱税です。
2011年以降、金地金の店頭で200万円を超えて売買する場合、税務署に支払調書を提出することになっています。仮に相続したときに金地金を申告せずにいたとしても、その後、金地金を売却したときに発覚すると考えておいた方がいいでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
新保 英毅(しんぼ・ひでたか)弁護士
2004年弁護士登録。相続・遺産分割事件、中小企業の法務の案件を多く取り扱っている。モットーは「依頼者ひとりひとりに適したオーダーメイドのサービス」。
事務所名:新保法律事務所
事務所URL:http://shinbo-law.com/