今季はパフォーマンスの低迷が続くフェラーリF1だが、F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットはチームを率いるにふさわしい人物であると述べている。
フェラーリは今年の始めには、間違いなくシーズン序盤での優勝候補になると目されていた。しかしチームは期待に応えることができず、優勢に立つライバルのメルセデスに一貫して挑戦できない状態となっている。
スペインGPでのフェラーリは車体やエンジンのアップデートに望みをかけて挑んだものの、結局はメルセデスに打ち負かされている。残念ながらフェラーリの努力は無駄に終わり、スペインGPではメルセデスが今季5度目の1-2フィニッシュを飾る結果となった。
イタリアのメディアは、メルセデスを上回れないことや戦略決定、そしてチームオーダーなどあらゆる点でフェラーリを批判している。
チームの基盤には必要なだけの強さがあるものの、ライバルが強大なのだと、かつてミハエル・シューマッハーとともにフェラーリ黄金時代を率いたブラウンは話す。
「ドライバーやチーム代表のマッティア・ビノットのコメントを聞くに、バルセロナで導入されたアップデートは期待通りの結果をもたらしている。しかし、宿敵が成し得たほどの効果は出ていないようだ」
「これほど競争の激しい競技では、単なる進化では不足となる。ライバルを出し抜けるだけのペースで進化しなければならないが、そのライバルはすでに一歩先をいっていて、さらにアップデートを持ち込んでプッシュしてくる」
「進み続けるターゲットを捕らえようとしているんだ。目標値は日々高くなり、追いつくためにはこれ以上ないほどの努力が必要となる。フェラーリが感じる苛立ちは、確かに理解できる」
「彼らは懸命に取り組み、もっと後になって持ち込むはずだった開発を前倒しにしている。それでもサーキットに来てみると、差は縮まるどころか開いている」
ビノットは自身が何をしているか理解しているため、周囲が騒ぎ立てることはないとブラウンは考えている。
「私がビノットに助言をするようなことは、まずない」とブラウン。
「彼は自分が何をしているのかを分かっている。これまでのF1での長いキャリアの中で、こうしたシチュエーションはすでに経験してきているのだから」
「フェラーリでは新たなサイクルが始まっている。こうした難しいシチュエーションから学び、改善することもその一環だ。敗北という厳しい現実は、ぬるま湯のようなそこそこの成績よりも、素早い反応を生み出すことがある」