日本生産性本部は5月16日、「第16回日本的雇用・人事の変容に関する調査」の結果を発表した。調査は今年1月から3月にかけて、上場企業1947社の人事労務担当者を対象にアンケート票郵送方式および一部Web調査にて実施。102社から回答を得た。
働き方の見直しにつながると思われる施策について聞いたところ、導入率が最も高かったのは「ノー残業デー(ウィーク)設定」(67.6%)、次いで「フレックスタイム制度」(53.9%)だった。また、「在宅勤務制度」(37.3%)は前回調査時(2016年)の18.8%から大きく上昇した。また、「テレワーク制度(在宅勤務以外)」(21.6%)も前回調査時(8.3%)から13.3ポイント増加している。
各制度や取り組みについて、「既に導入している」という企業に、生産性向上に効果があったか聞いてみたところ、「大いに効果有り」という回答が多かったのは「フレックスタイム制度」(20.6%)、「管理職に対する部下へのタイムマネジメントの評価」(17.6%)、「管理職自らの年次有給休暇取得の徹底」(12.7%)などだった。
大企業では同一労働同一賃金への対応も進む
働き方改革で特に効果や変化があったことを聞いたところ、最も多かったのは「長時間労働の是正(残業削減等)」で69.6%だった。次いで「有給休暇取得率の向上(計画年休取得促進等)」(50.0%)、「在宅勤務等、時間や場所の柔軟な働き方推進」(24.5%)、「業務プロセス標準化・簡素化、業務統廃合」(20.6%)という結果となっている。
働き方改革が閣議決定された2016年に比べて、自社の正社員の労働生産性が「かなり向上している」と回答した企業は2.0%、「どちらかというと向上している」と回答した企業は44.1%だった。4割以上の企業は生産性アップを実感しているようだ。
来年度から同一労働同一賃金の対応が求められる大企業(300人以上規模企業、65社)に、対応を聞いた。
「基本給のうち、年齢・勤続年数に応じて支給される部分」「基本給のうち、能力・経験に応じて支給される部分」「勤続による能力の向上に応じた昇給」に対して、「すでに対応している」と回答した企業はいずれも約3割から4割であった。
60歳以降の雇用確保への企業の取り組みは、「再雇用のみで対応(定年は60歳)」という企業は75.5%だった。一方で、「65歳以上に定年年齢を引き上げた」という企業は10.8%で、前回調査(5.3%)から大幅に増加した。