今年で10回目の出場となるレイホール・レターマン・ラニガンの佐藤琢磨は、土曜日に行われた予選で14番手のタイムをマークして無事に予選を通過した。
今年は36台のエントリーがあり3台が予選落ちとなる。どのドライバーにもその可能性があっただけに、琢磨も「満足度は半分ぐらいだけど、まずはホッとしました」と言う。
予選前4日間のプラクティスでは大きなトラブルやアクシデントもなく、まずは順調にプログラムを消化していた琢磨。
金曜のプラクティス終了後に行われたドローイング(くじ引き)では、17番目のアテンプト順を引き当てていた。
天候やコンディションが大きく左右するだけに、微妙な順位ではあった。やはり気温が低いと思われる前から10番目以内が理想だが、最初と2番目くらいまでは路面コンディションができていないので相応しくない。
予選の目標として琢磨は「ファストナインに入れればベストだし、もちろんそれを狙っていく。でもここまでのライバルの様子を見ていると厳しいかな。エドカーペンター、ペンスキー、アンドレッティ・オートスポートたちが速いと思う」と予選を占っていた。
土曜日の予選1日目は天候も良く気温が上がってきたので、17番目の順位はコンディションがベストとは言えなかった。しかも、風がやや強くなり、悪影響を与えそうだった。
琢磨はウォームアップランを215mph程度に抑え、4周を走行した。アベレージスピードは228.300mph。この時点では9番手のスピードをマークした。
予選を終えてコクピットから降りてきた琢磨の表情はやや厳しい。
「うーん。やっぱりコンディションがよくなかった。暑くなってダウンフォースも足りず、全開のままではいけなくなってたし、3周目のラップで風を受けて少しアクセルを戻したのが残念。できればもう一度アタックしたいと思ってますけど……」
わずかに戻したアクセルに後悔を感じつつも、スピード的にはさほど悪くない。後続のライバルにファストナイン入りは阻まれてしまったが、全車がアタックを終えた段階では12番手のポジションにつけていた。
琢磨は予選終了の90分前にはピットロードに戻り、気温が下がりコンディションが良くなるのを待った。
身支度が整うとマシンに乗り込みレーン2に並んで再アテンプトの順番を待った。
予選のアテンプトでは、記録を破棄して再アテンプトに挑むレーン1のマシンが優先されるため、待機の時間はどんどん長くなった。
フェルナンド・アロンソやジェイムズ・ヒンチクリフなど31番手以下にバンプされそうなドライバーは何度も第1レーンから予選アタックに出ており、琢磨はひたすら待たされることに。
最後のアテンプトカーになったのはチームメイトのグラハム・レイホールで、彼は27番手から17番手まで順位を上げて予選を終えていた。
当然琢磨も走れていたら、スピードを伸ばしていた可能性もあったが、残念ながら琢磨にアテンプト順は回ってこなかった。予選順位は12番手からふたつ落ちて、結局14番手となった。
「やれることは全部やったし、タイムが出なかったのはコンディションの条件もあるので仕方ないですね。ファストナインは難しかったけど、もうちょっといきたかったと言う気持ちもある」
「あとは決勝に向けて月曜のプラクティスでマシンの確認作業をしっかりして、レースにのぞみたいですね。もうインディ500については、いろんな経験をしたので、どういう状況になったら、どうすればいいというのはわかってる」
「だからレースの後半2~3スティントで良い車になるように、レース中の調整が少しで済むように、マシンを仕上げられればベストです」と感想を語りつつ、決勝への最後の仕上げを説明した。
すでに2017年のチャンピオンとして、優勝候補の一角にはいつも名前をあげられるようになり、予選順位は直接決勝の順位には反映され難いことを考えても、琢磨が決勝で優勝争いに加わる可能性は高い。人事を尽くしたのなら、あとは天命を待つのみ。そしてわずかな運が味方してくれるかどうかだ。