リーディングマークは5月20日、今年4月に発表した上位大就職人気ランキングの背景分析結果を発表した。調査は今年2~3月に実施し、新卒就活支援サービス「レクミー」登録者で東京大学、京都大学、早稲田大学、慶応大学などに通う2020年卒業予定の学生5328人から回答を得た。
上位5社は「三菱商事」「伊藤忠商事」「三井物産」「丸紅」「住友商事」と総合商社が独占。また8位「三井不動産」や9位「三菱地所」などのディベロッパー、13位「電通」や15位「博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ」などの広告代理店は、全体的に昨年より順位が上昇した。
金融不人気が叫ばれるが、14位に「三菱UFJ銀行」が入るなどメガバンクは依然人気が高い。大手日系老舗企業が上位を占める理由について、調査元は業界別・企業別の事情を挙げる。
機電系メーカーは、経営悪化のニュースがひと段落し、もち直してきている。広告代理店は、過労死問題で業界全体として人気が低下したが、経過とともに不人気から立ち直りつつあるという。
上位企業はいずれも「安定」「高収入」が期待できる日系各業界のリーディングカンパニーだ。調査元はそうした点に加え、旧帝大・早慶など上位校の学生は「一定の業務のチャレンジ性」を求めつつ、将来の堅実な成功を重視する傾向があるとしている。
外資の「競争力ある基本給」、ベンチャーの「迅速な昇進の可能性」は不人気?
上記学生が企業を選択する際に重要視する要素を抽出すると、1位は「チャレンジ性のある仕事」。2位以降、「企業の強い社会的責任感」「将来的な高所得の見直し」「友好的な職場環境を提供」「将来のキャリアへの良い関連性」が上位5つに入る。
6位以降、トップ10には「多様な仕事内容」「魅力的または面白い製品サービス」「競争力ある福利厚生」「仕事と生活の良いバランス」「市場での成功」がランクイン。
昇進に関する項目では、外資系企業に当てはまりやすい「競争力ある基本給」、ベンチャー企業が当てはまりやすい「迅速な昇進の可能性」などは入っていない。こうした点からも実力主義・激務といったイメージが伴いがちな外資系企業より、下積みを経てキャリアや高収入が期待できる日系大手が人気ということが読み取れる。
同社は、ワークライフバランスを犠牲にして、職場でのアップオアダウンなどのストレスを受けながら卒業後すぐに収入増やキャリアアップを目指すより、
「私生活とのバランスや良好な人間関係などを享受しつつ、一定の下積み期間を経ながらも将来的に高収入やキャリアップを着実に狙いたい、という上位校生の堅実な姿が浮かび上がる結果となりました」
とコメントしている。