第103回インディ500はシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)がポールポジションを獲得した。キャリア11回目のPPは、もちろんインディ500では初めてのものだ。
今年も予選は4日間のプラクティスを終えた後に、週末2日間を使って行われた。
予選1日目に平均229.854mphで3番手だったパジェノーは、予選2日目に行われたファストナインシュートアウト(レギュラーシーズンのロード/ストリートコースならトップ6による予選ファイナルを戦うが、インディ500では最速9人がPPからの9グリッドを競い合う)に進出。
暑かった1日目とは大きく異なり、雨が止んで涼しく湿度の高いコンディションで4週連続走行を行い、平均229.992mphを記録した。
予選2番手はエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)。昨年を含め過去3回ポール獲得を果たしているが、今年は2番手に甘んじたが、予選1日目は7番手だったが、予選2日目には見事な4ラップのアタックをやってのけた。
予選3番手はスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)。ジワジワとと成長、上位で戦うことの増えてきたピゴットは、予選1日目は230.083mphでトップだった。彼とすれば、予選2日目が予報の通りに1日中雨になってくれることを望んでいただろう。3番グリッドはまったく悪くない結果だが、ポールポジションを獲り逃した感も大きい。
予選4番手はエド・ジョーンズ(エド・カーペンター・レーシング)。ルーキーだった2017年のインディ500で3位フィッシュしている彼は、決勝ではダークホース的存在となる。
ルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)がホンダ最上位となる5番手。19歳ながら、インディでも驚異的な走りをずっと見せ続けている。
予選1日目は最初のアタックが229.033mph。計測時間が終了近くになってから保有スピードを捨ててアタック。見事に5番手でファストナインに進み、日曜には1回のアタックというプレッシャーにも押し潰されず、平均229.086mphを出して前日同様の5番手となった。
グリッド3列目に並ぶ予選7、8、9番手はセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)の3人だった。
予選1日目には10番から30番グリッドが決定。過去インディ500を制しているエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が予選12番手。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が予選14番手。トニー・カナーン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は16番手で、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は18番手だった。驚いたことに、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は22番手だった。
「14位という結果は、悪くないです。自分たちが望めるベストの結果が得られたと思う。風で煽られてアクセルを一度戻したこと、2回目のアタックをタイミングのせいで実現できなかった点も残念でした」と琢磨はコメントした。
■トリプルクラウンを目指し参戦したアロンソはまさかの予選敗退
今年のインディ500予選で最も衝撃的だったのは、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・レーシング)の予選落ちだ。
予選1日目にアロンソがトップ30に入れなかったのは、その3日前にクラッシュし、マシンを壊したためだった。その時点まででも十分なスピードが確保できていなかった彼らは、スペアモノコックで新しいマシンを組み上げたものの、なかなかスピードが上がらなかった。
驚いたのは、30人までに決勝進出が確定するところ、アロンソは5回もアテンプトを行いながら、一歩届かず31番手となってグリッドの確保に失敗。
予選2日目のアタックは6人中の3番目に行い、平均227.3563mphを記録したものの、最後のアタッカーであるカイル・カイザー(ユンコス・レーシング)が227.372mphと、アロンソを0.019mph上回って33番グリッドからバンプアウトした。
「とても残念だが、自分たちの力が足りなかったということ。ライバルチームの方が速かった。そういうことだ。自分たちのマシンはスピードが足りていなかった。スピードを探し求め、オーバーステアのマシンしても走ったし、アンダーステアのマシンでもアクセルを戻さずに走った」
「予選2日目には新しいセッティングも試した。どんなハンドリングなのかを知らずに予選アタックに出ていった。それでも1ラップ目の1コーナーから全開でいった。しかし、あとほんの僅かに届かなかった」と話した。
マクラーレンのスポーティングディレクターを務めるインディ500ウイナーのジル・ド・フェランは、「誰か予選をクリアした人から出場権を買うことなんてすることはない。インディ500への出場権は、自らの力で勝ち取るものだからだ」と語った。
このドラマを見ていた琢磨は、「これがインディ500の難しさ、厳しさですね」と話していた。
残り2日間の短いプラクティスを終えると、いよいよ26日に第103回インディ500の決勝レースがスタートする。