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「左腕が腫れています」予選延期に複雑な牧野。悪天候でワンデー開催となったスーパーフォーミュラ第2戦オートポリス戦の注目ポイント

2019年05月18日 19:01  AUTOSPORT web

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第2ヘアピン前の高速コーナーでハイドロで飛び出した牧野任祐。左サイドからガードレールに直撃した
オートポリスで開催される予定だったスーパーフォーミュラ第2戦予選が、残念ながら悪天候により、翌日の日曜日開催に延期となってしまった。この延期によって残念な思いの関係者は多いが、そのなかでも複雑な心境なのが牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)だ。牧野のその後と、一日ずれることになった予選のポイントをまとめた。

 牧野は土曜日午前のフリー走行で不運にもハイドロプレーニングでスピン、第2ヘアピン前の高速コーナーで飛び出し、ガードレールにクラッシュしてしまった。

「前にクルマが2台くらいいて、その2台にすごい勢いで追いついたので抜こうと思って少し左側にラインを外したんですね。その瞬間、川か水たまりに入ってしまって、コントロールを失ってしまいました」と牧野。

 ドライブレコーダーでは、コントロールを失った牧野のマシンがコマのように回転しながら、芝生で速度がほとんど落ちないまま左サイドからガードレールにぶつかっている様子が見られた。

「ガードレールに直接ぶつかってしまったので当たった直後はよく分からなくて、最初は右膝の痛みを感じたんですけど、レスキューに乗ってしばらく時間が経ってから左腕(二の腕あたり)がどんどん痛くなってきました。今も腫れていて痛いです(苦笑)」

 幸い、FIA-F2時代にクラッシュで右手首を負傷したが、そちらは無事だったとのこと。その牧野にとっては予選が日曜日に延期になったことはラッキーだったと言えるが……。

「でも、ウエットでウチのクルマはすごく調子が良さそうだったので……ちょっと複雑な心境です(苦笑)。身体のことを考えれば大事を取れたので良かったと思います。クルマも修理の時間が出来またし。でも、明日、走ってからでないと分からないですね」と牧野。

 クルマはメカニックの懸命の作業で、実は土曜日の予選開始時には修復が終わっていた。この土曜日はどのチームも慌ただしい一日となったが、牧野、そしてナカジマレーシングにとっては特に濃密な一日だったに違いない。

 その予選は明日、日曜の午前8時45分から40分間、計時予選という形で行われることになった。

 今週末はドライタイヤを使用していないので(金曜専有走行は前回からの持ち越しタイヤ)、新品のミディアム2セット、ソフト2セットをどのドライバーも所有しているが、日曜の予選40分間での、この新品4セットのタイヤの使い方が大きな勝負どころとなりそうだ。

■ワンデー開催となったスーパーフォーミュラ第2戦オートポリスの勝負どころはソフトタイヤ戦略

「やはりセッション最後でアタックするのがセオリーですけど、そこで赤旗が出るとタイムを残せないので、その前に一度タイムを出さないと行けないですし、予選の戦略、プランが重要になってきますよね」と話すのはITOCHU ENEX TEAM IMPULの平川亮。

 開幕戦を見る限り、ソフトタイヤはミディアムタイヤより鈴鹿で約1秒、ラップタイムが速かった。当然、このオートポリスでも予選の本命はソフトタイヤだが、鈴鹿では決勝でも予想外にソフトタイヤの保ちがよく、ミディアムタイヤでの周回を出来るだけ少なくする戦略を選んだドライバーが上位を獲得した。

 つまり、ソフトタイヤは今回のオートポリスの決勝でも本命タイヤとなることから、予選ではできるだけ、2セットのソフトタイヤの周回数を少なくしてアタックすることが求められる。

 昨年は雨でデータが少ないが、一昨年、オートポリス戦の金曜日の専有走行では路面が出来ていない状況で装着したソフトタイヤが全然、周回数を稼げなかったが、路面にラバーが乗った決勝ではチーム・ルマンの2台が驚異の周回数を稼ぎ、フェリックス・ローゼンクヴィストが予選10番手から2位表彰台を獲得した。

 明日の日曜日も雨上がりのいわゆるグリーンな粗い路面状況になるため、ソフトタイヤの消耗は間違いなく激しくなる。予選でその消耗をできるだけ抑え、その消耗したタイヤで決勝でどこまで周回数を稼げるか。スーパーフォーミュラ第2戦オートポリスの日曜日の戦いは、速さだけでなく、耐久戦のような戦略性とドライバーのタイヤマネジメントが勝敗を分けそうな気配だ。