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みうらじゅんがYouTubeチャンネル開設 動画第一弾「思い出のインターネット」が名曲だった

2019年05月18日 09:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 みうらじゅんが5月11日、自身のYouTubeチャンネル「みうチューバー」を新たに開設し、記念すべき動画初投稿を行った。


(参考:武井壮がカジサックに語った、恩人・ピエール瀧の言葉「君はね、テレビに出た方がいいよ」


 タレントとしてだけでなく、イラストレーター、漫画家、小説家、エッセイストなど、マルチに活躍するみうら。その多様な表現活動の中には、「ミュージシャン」も含まれている。しかし、その音楽活動の詳細は一般的にあまり知られておらず、中には埋もれてしまっている楽曲も少なくない。そこで発足したのが、YouTubeチャンネル「みうチューバー」だ。


 同チャンネルは、みうらが制作に関わった楽曲の中から、発表当時に話題にならず、YouTubeにも上がっていない貴重な音源を紹介していくというもの。記念すべき第1回目に紹介されたのは、1999年に発表された「思い出のインターネット」という楽曲だった。


 1999年といえば、「Windows95」リリースの4年後で、「iMac」発売の1年後、電子メールをテーマにしたラブロマンス映画「ユー・ガット・メール」の日本公開と同時期に当たる。インターネットが市井に普及し始めたばかりの「ネット黎明期」といって差し支えないタイミングだ。


 そんな時期に誕生した「思い出のインターネット」は、当時パソコンを触ったこともなかったみうらが、耳にしたIT用語の語感だけを頼りにイメージを膨らませて制作したという楽曲。同曲は「いずれインターネットも『思い出』になるだろう」という着想のもと、ITを中心とした機械文明がそのうち滅亡して、また土の臭いのする荒野に戻っていくはずという、楳図かずおの『漂流教室』的近未来観を下敷きにした、荒野を往く陽気なカントリーソングになっている。


 なお、「マイブーム」「クソゲー」「ゆるキャラ」の生みの親で、新たな価値観を世に訴えかけるのは得意なみうらだが、世の中の潮流に乗っかるのは決して得意ではない。そのため「思い出のインターネット」では、IT用語を理解していないし、理解しようともしていない、開き直ったかのようにズレた認識のもと、頓珍漢な「みうら流IT用語の解釈・1999年 Ver」が随所に散りばめられている。


 たとえば、デバイスを「出歯椅子」と読み拷問器具の一種のように描いたり、ISDNを「磯田クンの高校時代のあだ名『イソダン』」としたり、ウェブブラウザ・ネットスケープの略「ネスケ」は「寝助」と読み「寂しいご婦人に、ある祭りの時だけ夜這いのように忍び込んで添い寝をする男」と解釈したりと、やりたい放題だ。


 ちなみにみうら曰くこの歌は「予言の歌」なのだとか。インターネットがみうらの予言通り「思い出」になるのはまだまだ先のことかも知れない。しかし、「ISDN」や「ネスケ」はしっかりと「思い出」になっているあたり、微妙に先見の名があると言えなくもない。このようなコアでナンセンスなみうらソングが、「みうチューバー」ではこれから続々と発掘及び発信されるらしい。もちろん、みうらの解説付きで。次はどんな珍妙な楽曲が紹介されるのか、楽しみに待ちたいところだ。


(こじへい)