2019年05月17日 17:01 弁護士ドットコム
『サマーウォーズ』や『若おかみは小学生!』などの作品で知られるアニメ制作会社「マッドハウス」(東京都中野区)が、労使協定で定められた上限を超える違法な時間外労働と、割増し賃金の未払いがあったとして、新宿労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、5月17日わかった。
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ブラック企業ユニオンが同日、東京・霞が関の厚生労働記者クラブで会見を開いて、明らかにした。勧告日は4月17日。
勧告内容は、(1)労使協定の特別条項で、月60時間までの時間外労働を定めていたが、月100時間を超える時間外労働があった(労基法32条違反)、(2)時間外割増し賃金50時間・深夜割増し賃金50時間分は「固定残業代」となっていたが、50時間を越えた分については未払いとなっていた(労基法37条違反)――というもの。
同社で、アニメ制作のスケジュールやスタッフ、素材を管理する制作進行の男性が今年4月4日、労基署に申告したことがきっかけ。
男性はブラック企業ユニオンの記者会見に同席して、月最大393時間の労働時間、37日間の連続勤務など、すさまじい勤務実態があったことをうったえた。ある日、帰宅途中で倒れて、救急車で運ばれ、その後、心因反応と診断されたという。
男性が加入するブラック企業ユニオンによると、労基署の是正勧告と団体交渉を経て、マッドハウスは、過去2年分の未払い残業代を支払うとしているが、どれくらいの時間外労働があったかについては争いがあるという。
同社は、弁護士ドットコムニュースの取材に「是正勧告を受けて、適切に対処している」とコメントした。
(弁護士ドットコムニュース)