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「70歳まで雇用」案にネット大反発「年金を支給したくないことの言い訳にしか聞こえない」「60過ぎたら週休3日にしたい」

2019年05月16日 14:40  キャリコネニュース

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「定年退職後は年金で悠々自適な生活」――今の現役世代はそんなことが許されなくなりそうだ。

政府は5月15日、高齢労働者が70歳まで働けるようにするための、高年齢者雇用安定法の改正案骨子を発表した。現在、同法では企業に対し、希望者全員を65歳まで雇用するよう義務付けている。企業は定年の延長、廃止、契約社員等での再雇用のうち、1つを選択することになっている。

発表された案では、65歳以上の労働者が労働を希望した場合、7つの選択肢から選べるよう企業に努力を求めた。選択肢のうち3つは65歳定年制の選択肢と同じで、残る4つは他企業への再就職支援、フリーランスで働くための資金提供、起業支援、NPOなどへの資金提供とされている。

「70歳まで雇用」はそのうち義務化されるのでは「死ぬまで働けと?」


70歳雇用の議論は昨年からされていたが、骨子案が発表されるとネットでは大反発が起きた。2ちゃんねるに立ったスレッドでは、「そんなに働きたくない」「70歳にもなって8時間労働とか無理」「死ぬまで働けと?」などの声が相次いでいる。

「70歳まで働きたくないよ。昔は55歳だったんだろ。55歳→60歳→65歳→70歳……この調子だと80・90歳なんてあっと言う間だな。子供がかわいそう」
「60すぎたら、週休3日にしたい。65すぎたら、週休4日にしたい。今の会社がゆるしてくれればねぇ」

先日は経団連の中西宏明会長やトヨタ自動車の豊田章男社長が、終身雇用の維持は難しいと発言している。高齢者も働き続けるという政府の改正案は、こうした民間企業の実情と反するという指摘もある。また、選択肢として掲げられた起業支援や資金提供も、どの程度の効果があるか疑問だ。65歳を過ぎて新たに起業しようという人がどのくらいいるのか。

「努力義務」として掲げられた70歳までの雇用が、近い将来に義務化するのではと懸念する声もある。65歳定年も、当初は努力義務として始まったが、その後2004年の段階的義務化を経て、2013年に義務化された。わずか10年程度で努力義務が義務化に至ったことを考えれば、70歳までの雇用が今後義務化しても不思議ではない。

政府は今回の法改正に合わせ、現在65歳となっている年金支給開始年齢を70歳に選択できるようにしたいという見解を示している。ネットでは今回の案を「年金を支給したくないことの言い訳にしか聞こえない」と、年金支払いの抑制を目的としたものと見る人が多い。政府の「年金支給開始年齢の引き上げは行わない」という態度は、もはや信用されていないのが現状だ。

今回発表された骨格案は、来年の通常国会に提出される見込みとなっている。