2019年のWolrdRX世界ラリークロス選手権は5月11~12日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで第3戦が行われ、ロシア出身のティマー・ティミジヤノフ(ヒュンダイi20 WRX)がシリーズ参戦64戦目にして初優勝を遂げた。
サーキットレースとラリー競技の要素を融合させた競技のラリークロス。その世界選手権である世界ラリークロス第3戦は、2019年がシリーズ初開催の地、スパで行われた。
マーカス・グロンホルムが指揮するGRXタネコからシリーズに参戦しているティミジヤノフは、セミファイナル2でアンドレアス・バッケルド(アウディS1 EKS RXクアトロ)に続く2位でフィニッシュ。ファイナルの2列目を確保してみせた。
セミファイナル2はチームメイトのヨニ・ウィマン(ヒュンダイi20 WRX)が制してフロントロウを確保。そのほか、ジャニス・ボウマニス(フォード・フィエスタWRX)、リアム・ドーラン(アウディS1クアトロ)、ティミー・ハンセン(プジョー208 WRX)が6周のファイナルに駒を進めた。
ファイナルのスタートでは1コーナーに向けてイン側を確保していたバッケルドのライン取りがワイドになり、アウト側につけていたウィマンは押し出されるような形でタイヤウォールへヒット。この隙をついてティミジヤノフがトップに浮上する。
その後方では4番手につけるドーランがヘアピンへのアプローチで先行するボウマニスのリヤにヒット。そのままコントロールを失い、ヘアピンのイン側でマシンを止めている。
トップのティミジヤノフと2番手バッケルドは1秒以内の僅差で周回を重ねていくと、バッケルドは5周目に消化義務のある遠回りセクション“ジョーカーラップ”を通過。ティミジヤノフの3.041秒後方でメインコースに復帰する。
トップを走るティミジヤノフはリードを3.5秒まで広げて、最終ラップにジョーカーを通過すると、ポジションを守ったままメインコースに復帰。そのまま歓喜のトップチェッカーを受けた。
「この瞬間を迎えるまで64戦もかかったから本当に信じられない」とティミジヤノフ。
「ラリークロスは僕の人生なんだ。毎朝起きてから、ラリークロスのことしか考えていない。僕のDNAに脈々と流れているものなんだよ」
「昔、サーキットレースに参戦しないかと問われたこともあったけど、はっきり“ノー”だと答えてきた。僕がやりたいのはラリークロスだけなんだ。このスポーツを心から愛している。アクション満載でアドレナリンの放出量も桁違いなんだ」
「ファイナルでは、とにかく僕の後ろにいるライバルを抑えることだけを考えていたけど、(トップ2台が交錯したことで)1コーナーで僕の前にラインができた。“これはチャンスだ”と思って掴みにいったよ」
「トップに浮上してから、何をすればいいのか見当もつかなかった。ファイナルでラップリーダーになったのは、これが初めてだったからね。とにかく自分の運転に集中することだけを考えた」
「最高の週末だった。スパ・フランコルシャンのトラックは僕のドライビングスタイルにマッチしていたんだ。次のシルバーストン戦も楽しみだよ」
2位はバッケルド、3位は1コーナーで交錯があったウィマンが獲得している。
2019年の世界ラリークロス第4戦は5月25~26日、イギリス・シルバーストンで行われる。