SUPER GT Rd.2 Fuji 500km RACE
Arnage Racing Team Release
開幕戦の悪夢を思わせる悪天候のなか、チーム一丸で完走を果たす
開幕戦のクラッシュによるマシンの破損は大きく、外装パーツの補修は数十箇所にも及んだ。さらにドイツからのパーツの遅延がかさなり、限られた時間内での作業は困難をきわめた。しかし、多くの方々のご尽力により危機を脱したチームは、富士ラウンドに向けて、無事にマシンを送り出すことができた。
5月3日~4日に富士スピードウエイで開催される第2戦富士GT500kmでは、岡山公式テストでGTデビューを果たした手塚祐弥選手を第3ドライバーに迎え、長丁場を加納選手、山下選手の3人のドライバー陣で戦うことになっていた。
5月3日(金・祝) 予選日
天候:晴れ/ドライ
気温:22度
路面温度:36度
入場者:3万5800人
予選の行われる土曜日は天候に恵まれ、午前中の公式練習では時間いっぱいを使って3選手がそれぞれマシンのフィーリングを確かめた。また、チームも予定していたメニューを順調にこなし、レースに向けてのセッティングを行った。(ベストラップは36周目に山下選手が出した1分39秒352)
午後になっても安定した空模様が続くなか、予選が行われ、Q2進出を目指して山下選手が果敢にアタックを行った。しかし、1分39秒181をマークするにとどまり、ARNAGE RACINGは翌日の決勝を27番グリッドから追い上げることとなった。
5月4日(土・祝) 決勝日
天候:雨~晴/ウエット~ドライ
気温:18度→13度
路面温度:25度→17度
入場者:5万6000人
決勝の行われる日曜日。朝のうちは青空にくっきりと富士山が映え、好天に恵まれたかにみえたが、次第に雲が広がり、マシンをグリッドに並べる頃には、真っ黒な雲間から稲妻の見える怪しい空模様となった。
スタートドライバーは開幕戦に続いて山下選手。ドライタイヤでウォームアップ走行をドライブさせたチームだったが、このまま雨のスタートになると踏んで、グリッド上でタイヤをレインタイヤに交換した。
レースはセーフティカーに先導されてスタート。開幕戦の悪夢を思わせる強い雨と雷で、さらに強まる雨脚に、コースには全体にかなりの水が溜まり、コンディションは非常に危険な状態となった。13周目にセーフティカーが導入され、16周目には赤旗中断となってしまった。
約30分の中断を経て、雨脚が弱まり、空が明るくなってきたところでレースが再開。23番手に浮上していた山下選手は落ち着いた走りで、少しずつ順位を上げながら快走を続けた。
35周を過ぎる頃から、コースコンディションは次第にドライへと変わってきたため、ウエットタイヤを履いたマシンをピットに呼び戻すタイミングを見計らっていたチームは、43周で予定のルーティンピットを急遽38周に早め、山下選手は見かけ上14番手でピットに戻ってきた。
迅速なピットワークで4輪をドライタイヤに交換した後、第2スティントの手塚選手が24番手でコースに復帰。ドライタイヤを履いた手塚選手は、コンディションに車両のセットがマッチしていたこともあり、ルーキーらしからぬ堂々とした走行で48周目にはベストラップとなる1分39秒812をマーク。再び16番手まで浮上してきた。
ところが予定のピットイン直前の78周目、手塚選手の無線が緊迫した声で『パンクしたかも! 左フロント!』と叫んだ。監督は再び、急遽2周早いピットインを即断、最終コーナー付近にいた手塚選手はそのままピットに戻ってきた。準備万端整えていたチームは、タイムロス無しで左側タイヤのみ交換し、第3スティントの加納選手へと繋いだ。
見かけ上21番手でコースに戻った加納選手は、1分40秒台の安定したタイムでじわじわと順位を上げていく。長丁場のレースに、コースは路面が荒れてタイヤカスが散乱。ベテラン加納選手もピックアップをバーストと勘違いする場面があり、ピットは一時騒然となった。
しかし加納選手の冷静な判断でレースは続行、前方の強豪マシンを脅かす1分40秒台の好タイムで激走を続けた。さらに加納選手は、チェッカー目前の97周目に本人の今大会目標であった1分39秒台を叩き出し、17位でチェッカーを受けた。
Arnage Racingは、チーム一丸となって開幕戦のトラウマを克服し、27位スタートから大幅ポジションアップの17位で、富士500kmを完走することができた。