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角を切られた2頭のサイ 生きたまま放置される(南ア)<動画あり>

2019年05月14日 10:01  Techinsight Japan

Techinsight Japan

密猟者に狙われるサイの角(画像は『Kevin Pietersen 2019年3月2日付Twitter「P O W E R F U L」』のスクリーンショット)
生きたまま密猟者に角を切り取られ、血に染まった身体を震わせたまま横たわる2頭のサイの動画が拡散している。思わず目を覆いたくなるような映像だが、投稿者は「目を背けず見て欲しい」と訴えている。

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「これが私たちのサイに“毎日”起きている残酷な現実だ。実に不快で卑劣だ!」

悲しく強いメッセージとともに投稿されたサイの最期の動画。その顔は血まみれで、角をえぐり取られた痕が見るも無残で痛々しいが、2頭はまだ生きている。

この動画は今月11日、南アフリカ出身の元クリケットイングランド代表選手であるケビン・ピーターセンさんのTwitterに投稿されたものだ。

ケビンさんはポッドキャスト『獣のような人間(Beast of Man)』で 『BBC Radio 5 live』のサラ・ブレットさんとタッグを組み、故郷である南アフリカの「クルーガー国立公園」で行われているサイの密猟についての特集を組んでおり、「密猟がいかに卑劣なものか、より多くの人に知ってもらいたい」と力強く語っている。

また「アフリカの草原地帯でサイが死んでいくのを見るのは辛いです。死の臭いや光景は私の感情を揺さぶり、胸を締めつけるのです。このようなことが起こっていいはずがありません。サイを絶滅させるようなことがあってはならない。私たち人間はもっと賢いはずです。クリケットをしていた頃の自分とは違う“第二の人生”に、私は生きる意味を見いだしています」とサイの保護に全力を注いでいることを明かしている。

サイの救済・保護活動に取り組む「セーブ・ザ・ライノ(Save The Rhino)」によると、南アフリカのサイの密猟は2007年で13頭だったが2014年には1,215頭に急増しており、過去10年間で8,300頭のサイが密猟により殺されたという。一日平均3頭のサイが殺されており、ケビンさんはTwitterで「サイの密猟を止めないと2025年までにサイは絶滅するだろう」と述べている。

サイの角の成分は髪の毛とほぼ同じ「ケラチン」という硬タンパク質だ。薬としての効能はないにもかかわらず漢方薬として重宝され、中国やベトナムで売られるため、ブラックマーケットでの価値は金(GOLD)よりも高い1キロ6万ドル(約660万円)とも言われている。サイの角が密猟されるのは、ずばり“儲かるから”なのだ。

「人間の欲がサイを殺しているのです…」このケビンさんの一言が全てを象徴している。

ちなみに昨年2月には、角を切られ殺された母サイのそばで、乳を飲もうとする子サイの映像が拡散した。また同年7月には、密猟者による角狩りを防ぐためボランティアらによって角を短く切り落としていたサイが襲われ、たった1センチの角のために殺されている。なぜここまで残酷になれるのか。人間が欲を捨てない限り、密猟はなくならないのだ。




画像は『Kevin Pietersen 2019年3月2日付Twitter「P O W E R F U L」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)