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WRC:トヨタ、ラリー・チリ初代王者に。マキネン「タナクとヤリスWRCのコンビは最強だった」

2019年05月13日 13:41  AUTOSPORT web

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2019年のWRC第6戦チリを制したオット・タナクとマルティン・ヤルヴェオヤ(トヨタ・ヤリスWRC)
5月12日に行われた2019年WRC世界ラリー選手権第6戦チリの競技最終日。3台のトヨタ・ヤリスWRCで挑んだTOYOTA GAZOO Racing WRTは、総合首位を走っていたオット・タナクが逃げ切り、2019年シーズン2勝目を達成するとともに、WRCラリー・チリの初代ウイナーに輝いた。

 この2019年がWRC初開催となったラリー・チリ。競技最終日の12日は、サービスパークが置かれるコンセプシオンの東側と南側のエリアを舞台にSS13~16までの4SSで争われた。

 コンセプシオン周辺は、この日も天候に恵まれたものの、ステージ周辺には早朝、霧が広がったほか、その影響で路面の一部が濡れて滑りやすいコンディションとなった。

■タナクが盤石の走りで2勝目。ミークは8位完走も1分のタイムペナルティ

 前日のSS12を終えた時点で30.3秒のマージンを築いていたタナクだったが、競技最終日は5.1秒差となっていたセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)とセバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)による総合2位争いが激化。互いにペースを上げてバトルを繰り広げていたため、タナクも大きくペースを落とすことはできない状況となる。

 そんななか、タナクはSS13でステージ6位、SS14~15でステージ3位とペースを維持して、21.8秒リードで最終ステージのSS16へ。

 このSS16はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージに指定されていたこともあり、タナクは全力でアタック。先に走行を終えていたオジエのタイムを1.3秒上回る7分57秒3のタイムを記録して、ステージ優勝を飾るとともに、2月のラリー・スウェーデン以来となる2019年シーズン2勝目を手にした。

 前日のSS12でドライブシャフト破損によりデイリタイアしたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)はマシンの修復が叶い、競技最終日に出走。SS16ではステージ3位に入る活躍で総合11位でのフィニッシュとなった。

 競技2日目にマシンを横転させるクラッシュがあり、一部ステージをフロントウインドウなしで走りきったクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)も、SS16ではステージ5位に食い込む走り。総合8位でラリー・チリを走りきった。

 しかし、ミークには競技2日目に許可されていない場所でフロントウインドウを外す作業をしたとして、全ステージ終了後に1分のタイムペナルティ。総合10位までポジションを落とすことになった。

 ドライバーズランキングでは、優勝とパワーステージ1位で30ポイントを獲得したタナクが112ポイントでランキング2位。ランキングトップのオジエとは10ポイント差、ランキング3位のティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)とは2ポイント差だ。

 マニュファクチャラーズランキングでは、タナクの優勝とミークの10位入賞で29ポイントを加算し、146ポイントでランキング2位。ランキング首位のヒュンダイは178ポイント、ランキング3位のシトロエンは143ポイントとなっている。

■苦戦が続いていたタナク「完璧な週末で逆襲できた」

 チーム代表のトミ・マキネンは「オット(タナク)と我々チームにとって、本当に素晴らしい勝利だ」と喜びを語る。

「週末をとおして彼はミスをすることなく見事なドライビングを続けた。(ラリー・チリで)もっとも強いドライバーだったと思うし、オットとヤリスWRCのコンビネーションはラリー・チリ最強だったね」

「クリス(ミーク)とヤリ-マティ(ラトバラ)は残念ながら昨日罠につかまってしまったが、このラリーでミスをしたのは彼らだけではない。チリの路面はスムーズで流れのあるコーナーが続くいいステージだったが、ドライバーにとっては攻略が難しく、誰もが苦労していた」

「木々や土壁、丘が多くあり、コーナーの先が見えにくかったから、新たにペースノートを作るのはきっと大変だっただろう。それでも、多くのラリーファンが集まり、そして我々が優勝することができたから、とても素晴らしいラリーだったと思うよ」

 自身通算8勝目を挙げたタナクは「本当に難しいラリーで、絶対にミスをしないためには高い集中力が必要だった」と大会をふり返っている。

「ここ数戦は残念な結果が続き後退気味だったから、今回のように完璧な週末を過ごし、逆襲できたのは非常にポジティブだ」

「高いモチベーションを保ち、攻め続けることは、特にチームにとって重要だが、今回のような結果はその大きな助けとなる。ふたたび戦える立場に戻ってこられたから、これからのラリーがとても楽しみだよ」

 マシントラブルで上位入賞を逃したラトバラは「本当に大変なイベントだったけど、重要なのはクルマが非常に速く、自分もいいペースで走れたこと。これから散らばっている断片をつなぎ合わせて、いい結果を狙っていく」とコメント。

 ミークは「自分たちにはすべてのラリーで表彰台争いをできるスピードがあるから、今はとにかくミスのないクリーンなラリーを渇望している」と語った。

 2019年のWRC第7戦は5月30~6月2日に行われるグラベル(未舗装路)イベントのラリー・ポルトガルだ。