F1第5戦スペインGPでは開幕戦のオーストラリアGP以来、今シーズン2度目の表彰台を獲得したレッドブル・ホンダ。予選では0.085秒、フェラーリのセバスチャン・ベッテルに及ばなかったマックス・フェルスタッペンだったが、レースではスタート直後にオーバーテイクした後、ほぼ寄せ付けない危なげない走りで実力で3位を獲得した。
僅差だった予選から一転、レースでフェルスタッペンがベッテルを終始上回ることができたのは、ミスを犯したかどうかだった。
スタート直後、まずミスしたのはベッテルだった。スタートダッシュに成功したベッテルは、メルセデスの2台に並びかけるようにして1コーナーへ進入。しかし、ブレーキングでロックさせて失速。それをフェルスタッペンは見逃さず、すかさず3コーナーで走行ラインを変えて、オーバーテイクした。
昨年の前半はたびたび接触事故を犯し、さまざまな批判を受けていたフェルスタッペンだが、今年はレースでミスのない冷静な走りが目立つ。田辺豊治F1テクニカルディレクターも「このサーキットはオーバーテイクが難しいので、1周目が肝になりました」とフェルスタッペンの走りを高く評価していた。
ミスを犯したのは、ドライバーだけではない。ピット作業でもこの日のフェラーリは1回目のピットストップでベッテルだけでなく、シャルル・ルクレールのタイヤ交換でも手間取り、タイムをロスした。
そのミス自体が結果に大きく影響することはなかったが、チームの総合力でもスペインGPではレッドブル・ホンダがフェラーリを上回っていた。山本雅史マネージングディレクターは「マックスの素晴らしい走りだけでなく、レッドブルの戦略とピットストップ作業も素晴らしかった」と、チームへ対しても賛辞を贈っていた。
■フェラーリとの差は縮まったが、課題も明確に
この日のレースで、フェルスタッペンはフェラーリ勢2台を完封したが、チームメイトのピエール・ガスリーはフェラーリの後塵を拝し、6位に終わった。したがって、レッドブル・ホンダがフェラーリを上回ったと言うには、まだ早い。さらに田辺TDはこの結果が実力どおりかはまだわからないと言う。
「予選とレースの結果から判断すると、これまでよりフェラーリとの差は縮まったと思います。ただ、フェラーリは浮き沈みが多いので、今回が沈んでいるときだと考えると、今後ほかのサーキットでまた差を広げられる可能性もあるので、まだまだ安心はできません」
そして、レースを終えて、新たな課題も明確になった。この週末は、車体をアップデートしてきたメルセデスがさらに前進し、前人未到の開幕5戦連続の1-2フィニッシュを達成したからだ。
フェラーリとの表彰台争いは制したものの、レッドブル・ホンダ陣営にそれを手放しで喜んでいる様子はなかった。