トップへ

追い上げならず厳しいレースとなった琢磨「マシンは言うことをきかず精一杯の走り」

2019年05月12日 17:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

エンジニアのエド・ジョーンズと厳しい表情で話す佐藤琢磨
NTTインディカー・シリーズにとって、最も大事な5月がやってきた。103回目となるインディ500に向けてインディアナポリス・モーター・スピードウエイが徐々に活気を帯びてきた。

 そのインディ500の前哨戦とも言うべき、インディカーGP。今年がまだ6回目の開催だが、インディのファンにはすっかり定着している。

 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は、インディカーGPの1回目から出場しているが、2014年、2015年の9位が最高。

 リザルト的には決して相性の良いサーキットとは言えないだろうが、今シーズンはここまでランキング4位と順調に推移しているだけに、このインディGPでも上位でフィニッシュして、インディ500に向けて弾みをつけたいところだ。

「4月にホンダのマニュファクチャラーズテストがあったのですが、僕とグラハム(レイホール)は、ほとんどビリだったので、セッティングを大きく見直して、マシンを変えています」と琢磨は言っていた。グラハムとはやや違う味付けにして決勝レースまで臨むという。

 ロードコースながら2デイのスケジュールは忙しい中で進んでいくが、琢磨はFP1で9番手、FP2で6番手と次第にスピードを取り戻していった。


 そして夕方の予選ではグループ1の中で予選に臨み、Q1を見事トップで通過する。

 問題だったのはQ2でコースインした後でマーカス・エリクソン(アロウ・シュミット・ピーターソン)の背後につけたが、エリクソンはマシンのウォームアップが長く、琢磨はおよそ0.2秒のロスしてセッションを終えファストシックス進出はならなかった。予選は総合で11番手いう結果に。

 決勝朝のウォームアップでは、3番手という好タイムをマークしたが、マシンにはまだ満足出来ていないという琢磨。決勝にはどのような戦略でのぞむのか。しかもレーススタート頃には雨予報もあり、セッティングも悩ましいところだ。

 ポールを取ったルーキー、フェリックス・ローゼンクヴィストが全24台を引き連れてレースがスタートになった。


 琢磨はターン1の縁石で姿勢を乱すと周りのマシンに飲まれ順位を落とした。だがそこから1台ずつ前のマシンをパスしていった。28周目にピットインする直前にはシングルポジションまで浮上する。

 この頃からポツポツと落ちていた雨が、次第に大粒の雨に。

 第2スティントではタイヤがグリップを失うのが早く50周を過ぎるとブラックタイヤに交換してコースに戻った。

 ここでレインに履き替えていたら、琢磨にとってはもっと良い週末になっていたかもしれない。

 もうスリックタイヤではコースに留まるのも無理な状態となり、カストロネベスのマシンが止まりイエローとなった時に、琢磨はピットインしてレインタイヤに替えた。マシンは16番手になった。


 ただ雨を得意とする琢磨だから、ここからの追い上げは十分に期待していたのだが、それも叶わず琢磨のオーバーテイクショウは見ることはできなかった。

 雨の中でチェッカーフラッグが振り下ろされた時には琢磨は14位でレースを終えた。

「今日は厳しいレースで、アップダウンの激しい日でした。最初はスタートで順位を落としてしまったんですが、なんとか1台ずつでもオーバーテイクし、ポジションを上げることができました」

「ただアンダーステアも強くハンドリングには苦しみました。レインに替えてからもマシンは言うことをきかなくて、精一杯の走りでしたね。反省するところはしっかりと反省して次に備えたいですね」と琢磨はコメント。

 そして週が明ければ、いよいよインディ500のプラクティスが始まる。