ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC) 5月11日に行われた2019年WRC世界ラリー選手権第6戦チリの競技2日目。3台のトヨタ・ヤリスWRCで戦うTOYOTA GAZOO Racing WRTは、オット・タナクが総合首位を堅持したものの、クリス・ミークはマシンを横転させるアクシデントでポジションを落とし、ヤリ-マティ・ラトバラはドライブシャフト破損でデイリタイアを余儀なくされた。
南米チリを舞台に争われるグラベル(未舗装路)イベントのラリー・チリ。競技2日目はサービスパークが置かれたコンセプシオンの南側の山岳エリアを舞台にSS7~12の6SSで争われた。
前日同様、この日も好天に恵まれたものの、SS12では雨が降ったほか、一部には霧も出る難しいコンディションとなった。
前日、22.4秒リードで総合首位につけていたタナクは、SS9でステージトップタイムを記録して、リードを34.6秒まで拡大。ウエットコンディションとなったSS12ではステージ1位と13.9秒差のステージ7位に終わったものの、総合2番手のセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)に対し、30.3秒のリードを築いている。
総合3番手で競技2日目に臨んだラトバラは、オジエやセバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)と僅差の総合2位争いを展開し、オジエと12.2秒差、ローブと3.9秒差でSS12へ臨んだ。
そのSS12走行中、ラトバラはコース脇の溝に隠れていた石に左フロントタイヤをヒット。衝撃でドライブシャフトを破損してしまい、デイリタイアを余儀なくされた。なお、チームはマシンを修復し、競技最終日には出走させる予定。
総合5番手で競技2日目に臨んだミークは、この日最初のステージであるSS7走行中にマシンが横転。約5分30秒ほどタイムをロスしてしまい、総合14番手までポジションを落としてしまう。
さらにミークのヤリスWRCはクラッシュにより、フロント部分を破損。フロントウインドウが割れたため、ガラスを外した状態でSS8~9の走行を余儀なくされた。
万全とは程遠い状況での走行を強いられたミークだったが、SS8~9ではともにステージ4位を獲得するなどパフォーマンスを発揮。メカニックの働きもあり、ランチブレイクにはマシンも修復され、最終的にポイント圏内の総合10番手までポジションを回復している。
■トヨタ率いるトミ・マキネン「ラリー・チリが誰にとっても非常に難しい1戦であることが証明された」
チーム代表を務めるトミ・マキネンは「ラリー・チリが誰にとっても非常に難しい1戦であることが証明された。特に、今日は1日をとおして、さまざまなことが起きた」と競技2日目を総括する。
「午後は霧と雨で路面コンディションが劇的に変わり、視界がとても悪そうだったね。残念ながら、ヤリ-マティ(ラトバラ)は非常に小さなミスでドライブシャフトにダメージを受けてしまった」
「クリス(ミーク)も午前中にミスをしたが、幸いにもクルマのダメージはそれほど深刻ではなく、チームは昼のサービスで素晴らしい仕事をして修復した」
「オット(タナク)はすべてをうまくコントロールしているから、明日は彼の勝利に期待している」
2月の第2戦スウェーデン以来となる総合優勝に迫ったタナクは「1日をとおしていいリズムを保とうと努力したが、最後のステージは雨と霧とハードコンパウンドタイヤにより、特に難しく感じた」とコメントしている。
「それでも問題なく1日を走り切り、明日に向けて十分な差をライバルに対して築くことができた。まずは最初の3本のステージに集中して臨み、その上で選手権争いの助けとなるであろうポイントを、最後のパワーステージで獲得できたらいいね」
表彰台を争いながらも、デイリタイアとなったラトバラは「午後はステージに自分のクルマのセットアップがあまり合っておらず、昨日のような良いフィーリングが得られなかった。そして、最後のステージでは溝にあった石に当たり、クルマの左フロント部分とドライブシャフトを破損し走行できなくなった」とコメント。
フロントウインドウなしでの走行を強いられたミークは「運転に問題はなかったが、割れたフロントウインドウを外す必要があり、そのため風の音でペースノートの音声が聞きとりにくく、また風圧でうまく呼吸ができなかった」とふり返った。
競技最終日となる12日は、コンセプシオンの東側と南側を舞台にSS13~16までの4SSが行われる。このうち12.52kmの最終SS16はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージだ。
全4SSの合計距離は58.38km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は245.19kmとなっている。