焼肉屋は、客が肉を焼くのが一般的だ。筆者はそれが焼肉屋の醍醐味だと思っていたが、中には"店に肉を焼かされている"と、被害者意識を持つ人もいるらしい。
5月上旬のはてな匿名ダイアリーに「焼肉屋の楽しさがわからない」というエントリーが寄せられた。投稿者は「材料だけ客に押し付けて店員はのんびり。店員の代わりに客が必死に調理」と、肉を焼く作業を店側が客側に押し付けていると主張する。
「自分で焼くのがエンタメなんだ」と言ってくる人に対しては、面倒事を体良く押し付けられているだけだと一蹴。「むしろ給料が欲しいくらいなんだが」と不満を綴った。(文:石川祐介)
自分で焼くのが嫌なら「カウンターや席で店員が焼いてくれるお店に行きなよ」
この主張には、「俺もなんで客が肉焼くのか分からないし面倒なので行きたいと思わない」と共感の声が寄せられている。「同じ理由でビュッフェとかバイキングの楽しさが分からん」と焼き肉だけでなく、客が自ら配膳をしなければいけない形式の飲食店を嫌う人もいた。
ただ、「焼き肉は焼き上がった瞬間に食うのが一番うまい」と、美味しさの点から自分で焼くことを推す声もあった。
自分で焼くのが嫌なら、焼いてくれる焼肉屋に行けばいいという指摘はごもっともだろう。
「カウンターや席で店員がちゃんと焼いてくれるお店に行きなよ。最高の焼き加減の肉や臓物をビールで流し込むの最高だから」
自分で焼く焼肉屋は、焼き加減を調整できること、好きな順番で食べられることがメリットだ。こうしたメリットより自分で焼く面倒くささが上回るなら、自分で焼かずに済む店を選べば良いだけの話だ。
「むしろ客に焼かせることで余分なコストかかってると思う」
投稿主は自分で焼くスタイルの焼肉屋を「材料だけ客に押し付けて店員はのんびり」と述べているが、かつて焼肉屋でバイトをしていたという人は「むしろ客に焼かせることで余分なコストかかってると思う」と指摘している。
確かに考えてみれば、客に鉄板や網を使わせれば火傷のリスクが上がる。実際、焼肉屋の店員は肉や料理を運んだり網を掃除したり、色々と忙しそうだ。客の網の火力にも気を配っているし、のんびりはしていないだろう。
「家で焼肉した後、焦げや脂のこびりついた網と水受け洗うの大変じゃん」
「焼き肉の肉に下ごしらえがないと思ってる奴か」
「後片付け&給仕&油掃除をしない人間の意見」
飲食店では調理や盛り付けなど、食べる前のほとんどの工程を店が行ってくれる。客が焼くタイプの焼き肉店だって、仕入れからカット、味付けなど店側の準備があってこそ、焼くだけで食べられるのだ。目の前に肉が来るまでにかかる労力を思えば、最後のひと手間くらい文句を言わずにやればいいのに、と思わなくもない。