2019年のWRC世界ラリー選手権第6戦チリは5月10日、SS1~6が行われ、トヨタ勢が4つのSSで最速タイムをマーク。オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が総合首位、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合3番手につけた。
WRCとしては2019年が初開催となるグラベル(未舗装路)イベントのラリー・チリ。競技初日となる10日はサービスパーク南側エリアの森林地帯を中心に争われた。
午前中に行われたステージではぬかるんだ路面に加え、木漏れ日や霧がドライバーの視界を奪い苦しめる要因に。WRC初開催ということで全ドライバーが新規に制作したペースノートで挑んだ点も勝負を分ける要因となった。
第4戦ツール・ド・コルス以降、表彰台から遠のいているタナクは、オープニングのSS1ではコーナーでのオーバーシュートやエンジンストールのハプニングがありステージ5位。しかし、続くSS2ではトップタイムを刻んで総合首位におどり出る。
タナクは午前中最後のステージであるSS3を終えて6.1秒リードを築くと、サービスを挟んで迎えたSS4~5では連続で最速タイムをマーク。リードを23.1秒まで広げてみせる。
サービスパークの置かれるコンセプシオン市街地の特設コースで行われたSS6ではステージ6位に終わったものの、タナクは22.4秒リードで競技初日を終えた。
「ランチブレイクのときに、エンジニアがマシンをいい方向へアジャストしてくれた」とタナク。
「そのおかげでフィーリングがよくなったし、自信を持ってドライブできるようになったよ。明日も簡単な戦いにはならないだろうけど、集中して臨むし、できれば今のペースを維持したいね」
タナクに続く総合2番手はセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)。前戦ラリー・アルゼンティーナよりはマシンパフォーマンスに満足しているとしたものの「今日はオット(タナク)が信じられないくらい速くて、追いつくことができなかった。だけど、明日も戦いを続けていく」とコメントしている。
総合3番手のラトバラは、SS1でステージ最速タイムを刻んだものの、続くSS2では総合5番手まで後退。その後、着実にポジションを上げて表彰台圏内に返り咲いた。首位のタナクとは28.8秒差、総合2番手のオジエとは6.4秒差だ。
そのラトバラと0.7秒差の総合4番手には目下2連勝中のティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が続いたほか、総合5番手にクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)、総合6番手にはヒュンダイ移籍後初のグラベル戦となるセバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)が続いている。
下位クラスのWRC2を戦う勝田貴元(フォード・フィエスタR5)はSS1を終えた時点でクラストップ。その後はアルベルト・ヘラー(フォード・フィエスタR5)にポジションを奪われたものの、クラス2番手で競技初日を終えた。首位ヘラーとは24.5秒差だ。
2019年のラリー・チリ競技2日目となる11日はSS7~12までの6SSが行われる。