ヨーロッパラウンド開幕戦となったF1第5戦スペインGPに、予定通りレッドブルがアップデートされた最新の空力パーツを持ち込んだ。しかし、マックス・フェルスタッペンのベストタイムは1分18秒035と5番手、チームメイトのピエール・ガスリーは1分18秒238に終わった。前戦アゼルバイジャンGPでの初日のフェルスタッペンのポジションは、メルセデス勢の間に割って入っての4番手だったから、今回は一歩後退したように見える。
ただし、トップとのタイム差を見ると、必ずしも後退しているとは言えない。アゼルバイジャンGPで4番手だったフェルスタッペンのタイムは、トップのシャルル・ルクレール(フェラーリ)から0.921秒遅れだったのに対して、スペインGPではトップのバルテリ・ボッタス(メルセデス)から0.751秒差につけているからだ。
また、この日のフェルスタッペンのタイムは、1回目のフリー走行でトラブルに見舞われていたことも考慮しておかなければならない。トラブルはフリー走行1回目の終盤に発生した。
「データ上では問題なかったのですが、クルマがガレージに帰ってきたら、フロアにオイルが漏れていることが確認されました。外から見て、(どこから漏れているか)わかる状況ではなかったので、まずはパワーユニット(PU/エンジン)を車体から切り離すことにしました。しかし、切り離してもすぐにわからなかったため、PUをスペック2に交換することにしました」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)
この日、フェルスタッペンの車体に搭載されていたパワーユニットは、いわゆる『金曜日エンジン』と呼ばれているもので、開幕戦から第3戦中国GPまで使用していたものだ。
■ピエール・ガスリーもマシンのフィーリングに好感触
アゼルバイジャンGPに投入したスペック2エンジンは金曜日の夜に交換して、土曜日から使用する予定だった。交換作業自体はスムーズに終了し、フェルスタッペンは2回目のセッションには開始から2分後にコースインできたが、1回目のセッションの後半の走行時間を失ったことで、セットアップ作業が十分にできなかった。
「2回目のセッションの前にエンジンを交換しなければならなくなったから、クルマのバランスが決まっていなかったんだと思う」(フェルスタッペン)
したがって、金曜日の夜に行うセットアップの変更次第では、フェルスタッペンが上位2チームともう少し接近する可能性は十分考えられる。
レッドブル・ホンダのパッケージが、前戦アゼルバイジャンGPよりも向上していることはガスリーのタイムにも現れている。アゼルバイジャンGPでは初日9番手で、トップから1.368秒遅れだったが、スペインGPでは0.954秒差だった。
「乗ってすぐ、クルマのフィーリングがいいと感じた。一歩前進できた気がする」とガスリーも述べており、田辺TDも「ガスリーは前回のアゼルバイジャンGPからバランスとスタビリティが良くなって、クルマの挙動を信じてプッシュできる状況になっているようですね」と語っている。
もちろん、メルセデスとフェラーリもアップデートにより、大きく前進してきている。金曜日はそのデータ収集の一日。そのデータを元に、土曜日にどのようにセッティングを仕上げてくるか。アップデートされたマシンのによる本当の戦いは、土曜日から始まる。